田島 (広島県)

田島（たしま）について

田島は、瀬戸内海に位置する小さな有人島で、広島県福山市内海町に属しています。島は備後群島の一部であり、面積は8.71平方キロメートルで、ほぼ山で形成された地形が特徴です。島と本州を結ぶ内海大橋や隣接する横島との睦橋があり、交通の便も整っています。

地理

田島は、本州の福山市沼隈半島から南約0.5kmの場所に位置しています。島の西には横島があり、この2つの島は「魚がキスをしているような形」と評されています。また、北西には百島、東には阿伏兎、さらにその先には鞆の浦があります。島全体が、温暖な瀬戸内海式気候に恵まれており、平野部は狭いものの、畑が点在しています。地元では「田島の田なし」という表現が使われるほど、稲作の面積は少ないのです。島には主要な港として、北部に横田港と箱崎漁港があり、古くから良港として利用されてきました。集落は島全体に散在しており、主要な公共施設は島の西端や東部に集中しています。

歴史

田島という名前の由来は、神武天皇の伝説に由来し、もともとは「高島」と呼ばれていました。その後、時代の推移とともに名前が変遷していきました。また、島には「神島」「黒島」「藤島」といった別名もあります。江戸時代には、この島が交易において重要な役割を果たしていたことが記録に残っています。

古代の歴史として、田島には弥生時代の遺物が発見されており、戦国時代には源平合戦の舞台ともなりました。特に屋島の戦いでは、源氏と平家の対決が繰り広げられ、田島はその戦略的な位置から重要視されていたことが示されています。また、「那須堂」と呼ばれる場所は、伝説に登場する那須与一が陣を張ったとされています。

中世から近世にかけては、田島村上氏がこの地の地頭職をつかさどり、交易が盛んに行われていたことが文献からわかります。江戸時代には、瀬戸内海の要衝として栄え、漁業が発展しました。特に田島岸では、優れた操船技術を持つ島民が数多く生まれ、海運においても重要な役割を果たしました。

近代以降

近代になると、田島は明治から平成にかけての行政区分の変遷を経て、最終的に福山市に編入されます。その間、漁業は続けられ、特に明治初期から始まった打瀬船による漁業が盛況となります。また、戦後には海外漁業にも進出し、地域経済の重要な要素となりました。

近年では、内海大橋の完成により地域活性化の期待がかけられましたが、続く人口流出が問題となっています。これに対処するため、空き家の活用や移住希望者の支援が進められています。

観光

田島を訪れる際、内海大橋を利用すると車で簡単にアクセスできます。島の自然美や豊かな歴史を体感し、地元の文化や風土を探求することができるでしょう。今もなお、田島は多くの魅力を秘めた島であり、訪れる人々に感動と発見を提供しています。

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