田川炭鉱

田川炭鉱（たがわたんこう）

田川炭鉱は、かつて山形県西田川郡温海町（現在の鶴岡市五十川）に位置していた炭鉱です。ラサ工業が経営しており、その歴史は明治時代にまで遡ります。

概要

田川炭鉱は、慰霊碑の前に位置する「田川鉱山坑口跡入口」と案内された小橋を渡り、林の中を約100メートル進んだ場所に、五十川坑の坑口跡があります。周囲には煉瓦造りの遺構がわずかに残っており、山中には専用線で使用されたと思われるホッパーが残存しています。これらの遺構は、かつての炭鉱の隆盛を今に伝える貴重な証拠となっています。

歴史

1894年（明治27年）: 田川炭田として開鉱され、後に深山炭鉱となるも、約1年で閉山。
1937年（昭和12年）12月: ラサ工業が炭鉱を買収し、本格的な採掘が開始されました。
最盛期: 五十川駅の貨物輸送量は新潟管内で1位を記録するほどで、炭鉱の活況を物語っています。
1938年（昭和13年）6月1日: 田川鉱業特設電話所が設置され、通信網が整備されました。
1939年（昭和14年）6月1日: 田川鉱山郵便局が開局し、地域住民の生活を支えました。
1944年（昭和19年）: 約6000人の労働者のうち、567人が朝鮮人労働者であったことが記録されています。
1945年（昭和20年）:
8月17日：終戦の混乱の中、田川鉱業所は無傷で操業を再開。
12月16日：石炭不足対策のため、国鉄が職員挺身隊66名を派遣し、生産を支援しました。
1946年（昭和21年）:
1月16日：国鉄からの派遣隊の交代として41名が入山。
2月28日：国鉄からの第2次派遣隊が退山。
1947年（昭和22年）:
9月：月産2万2900トンと戦後最高の生産量を記録し、県内石炭生産の62％を占めました。
10月30日：選炭工場が失火により全焼する事故が発生しました。
12月：コンプレッサー室も全焼し、生産活動に大きな打撃を与えました。
1948年（昭和23年）11月23日: 選炭所が再建され、竣工式が行われました。
1949年（昭和24年）2月10日: 田川鉱業所と温海鉱業所が分離しました。
1950年（昭和25年）:
3月14日：温海鉱業所が閉鎖されました。
12月：企業合理化のため、田川鉱業所が分離し、田川炭鉱株式会社が設立されました。
1954年（昭和29年）7月30日: 田川炭鉱株式会社が株式会社大阪造船所に譲渡されました。
1960年（昭和35年）11月10日: 閉山となり、434名の従業員が職を失いました。
1982年（昭和57年）: 殉職者119名の霊を弔う慰霊碑が建立され、現在もその存在が地域の記憶を繋いでいます。

閉山後

閉山後、田川炭鉱の施設は次第に朽ちていきましたが、その一部は今も残っており、炭鉱の歴史を物語っています。また、慰霊碑は、炭鉱で亡くなった人々の魂を慰め、その歴史を後世に伝える役割を果たしています。

外部リンク

田川炭鉱跡と殉職者慰霊碑

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