田畑英勝

田畑英勝：奄美の民俗を掘り起こした情熱

田畑英勝（1916年 - 1983年）は、日本の民俗学者であり、特に奄美大島の民俗文化研究に大きな足跡を残しました。彼の生涯は、故郷への深い愛情と、失われゆく文化を記録し後世に伝えようとする情熱に満ちています。

生い立ちと学問

奄美大島の旧家に生まれた田畑は、國學院大學で折口信夫、柳田國男という民俗学の大家に師事し、学問の基礎を築きました。この時期に培われた知識と視点は、彼のその後の研究活動に大きな影響を与えました。満州国立法政大学教官を経て、戦後故郷に戻り、奄美高等女学校専攻科、鹿児島県立大島高校に勤務しました。

奄美の文化研究への貢献

田畑は、島尾敏雄らと共に奄美郷土研究会を創設し、奄美の民俗文化の調査研究を精力的に推進しました。彼の研究は、奄美の口承文芸、民話、伝説、風習など多岐にわたり、その成果は数多くの著書として結実しました。また、日本口承文芸学会設立にも参加し、発足時理事を務めるなど、学会の発展にも貢献しました。

著書と業績

田畑の著書は、奄美の民俗文化を理解する上で貴重な資料となっています。

『奄美大島昔話集』（1954年）
『奄美のことわざ』（1956年）
『徳之島の昔話』（1972年）
『奄美諸島の昔話』（1974年）
『全国昔話集成15・増補改訂 奄美大島昔話集』（1975年）
『奄美の民俗』（1976年）
共著に『奄美の伝説 日本の伝説23』
共編に『南島歌謡大成5 奄美篇』

これらの著書は、奄美の言葉で語り継がれてきた物語や知恵を、丁寧に記録し、現代に伝える役割を果たしています。

受賞と晩年

長年の研究功績が認められ、1978年には南海文化賞を受賞しました。これは、彼の南島文化研究に対する貢献を称えるものです。田畑英勝は、1983年に生涯を閉じましたが、彼の残した業績は、今もなお奄美の文化研究に携わる人々にとって大きな指針となっています。

家族

元東京都練馬区長である田畑健介は実弟であり、民俗学者の田畑千秋は三男です。家族もまた、学問の世界で活躍しています。

田畑英勝は、奄美の民俗文化を愛し、その保存と研究に生涯を捧げました。彼の情熱と努力は、奄美の文化を未来に継承するための礎となっています。

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