田能遺跡

田能遺跡の概要

田能遺跡（たのいせき）は、兵庫県尼崎市の田能から伊丹市の岩屋にかけて広がる弥生時代の遺跡です。この遺跡は、1969年（昭和44年）に国の史跡として指定され、その重要性が認められています。

遺跡の発見と調査の経緯

田能遺跡が注目されるきっかけは、1965年に行われた工業用水園田配水場の建設工事中に発見された大量の弥生土器でした。この発見を受けて、三市（尼崎・伊丹・西宮）による調査が始まりました。その結果、特に注目を浴びたのが木棺の発見です。木棺は通常腐りやすいため、それまで弥生時代の木棺埋葬風習は推測の域を出ませんでしたが、田能遺跡の木棺はその実在を示す初の具体証拠となりました。

第1次調査では木棺から人骨も発見され、これによって弥生時代の埋葬習慣についての理解が深まりました。当初、調査後は配水場の建設が進められ、遺跡は破壊される予定でしたが、保存運動の高まりにより、遺跡の重要部分が保存されることが決定されました。おかげで、1969年に国の史跡に制定された後、1970年には尼崎市立田能資料館として一般に公開されました。このような文化財保護運動は、高度経済成長期の中では特に珍しく、画期的な事例とされました。

出土品について

田能遺跡からは多数の土器や石器、木製品、骨類、鉄製品が発見されています。中でも次の三点は兵庫県指定文化財として認識されています。

• - 銅剣鋳型（どうけん・いがた）
• - 白銅製釧（はくどうせい・くしろ）
• - 碧玉製管玉（へきぎょくせい・くだたま）

これらの出土品は、弥生時代の人々の暮らしや文化を伺わせる貴重な資料です。

アクセス情報

田能遺跡へのアクセスは、公共交通機関と自動車の両方が利用可能です。阪神バスを利用する場合、阪急電鉄神戸本線の園田駅北側4番バスのりばから、以下のいずれかの行き先のバスに乗車し、「田能口」バス停で下車します。

• - 20番 - JR猪名寺 行
• - 21・21-2番 - 阪急塚口 行
• - 22番・22-2番 - 阪神尼崎 行

下車後は、北へ徒歩約15分ほどで遺跡に到着します。また、JR宝塚線の猪名寺駅からは、東側のバス乗り場から20番のバスに乗り、「田能口」バス停で下車することができます。所要時間は約8分で、こちらも徒歩15分で到着します。自動車の場合、名神高速道路の豊中インターチェンジから北西へ約3キロメートル、または尼崎インターチェンジからもアクセス可能です。

まとめ

田能遺跡は弥生時代の貴重な遺跡であり、その発見から現在に至るまで文化財保護の重要性が認識されてきました。この遺跡は古代の人々の生活や葬送の風習を学ぶ上で欠かせない遺産であり、地域の文化を理解する上でも重要な役割を果たしています。

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