田邊公己

田邊公己について

田邊公己（たなべ こうき）は、1976年3月31日生まれの実業家です。外食産業を中心に複数の企業の経営に携わってきました。しかし、その経歴の中で不正競争防止法違反という不祥事を起こし、社会的な注目を集めることとなりました。

生い立ちとキャリア

千葉県出身の田邊氏は、1998年に東海大学開発工学部を卒業後、ゼンショー（現ゼンショーホールディングス）に入社しました。ゼンショーでは、経営改革室ゼネラルマネジャーを務めるなど、経営の中核を担うポジションで活躍しました。その後、ゼンショーグループ内での異動を経て、2014年には、はま寿司の取締役に就任しました。

さらに、ゼンショーグループを離れてからは、善祥カフェ オリーブの丘カンパニー社長執行役員や、オリーブの丘の代表取締役などを務め、2017年にはジョリーパスタの代表取締役社長に就任しました。2018年にはココスジャパンの代表取締役社長も務めるなど、外食産業で輝かしいキャリアを築き上げました。

2020年には、カッパ・クリエイトの顧問に就任。その後、同社の執行役員副社長を経て、2021年には代表取締役社長に就任しました。しかし、このカッパ・クリエイト時代に、不正競争防止法違反という重大な不祥事を起こすことになります。

不正競争防止法違反事件

田邊氏がカッパ・クリエイトの顧問に就任した2020年11月からの2か月間、前職であるゼンショーホールディングスのグループ会社である、はま寿司の日次売上データを、ゼンショー時代の元同僚から複数回受け取っていたことが発覚しました。この行為は、はま寿司からの告訴につながり、不正競争防止法違反の疑いで捜査が開始されました。

警視庁は2021年6月28日にカッパ・クリエイト本社などの家宅捜索を行い、2022年9月30日には、田邊氏本人とカッパ・クリエイトの社員1人、はま寿司在職時の元部下の計3人が、不正競争防止法違反容疑で逮捕されました。

この逮捕を受け、田邊氏は2022年10月3日付でカッパ・クリエイトの社長を辞任しました。その後、東京地方検察庁は、田邊氏ら2人と法人としてのカッパ・クリエイトを不正競争防止法違反の罪で起訴しました。同年12月22日に行われた初公判では、田邊氏は起訴内容を認めました。

刑事裁判と民事訴訟

2023年5月31日、東京地方裁判所は田邊氏に対して、懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決を言い渡しました。田邊氏はこれを不服として控訴せず、この判決が確定しました。

さらに、2023年12月27日には、はま寿司が田邊氏とカッパ・クリエイト、そしてカッパ・クリエイトと同じコロワイドグループであるコロワイドMDの3者に対して、5億円の損害賠償などを求めて東京地方裁判所に提訴したことが発表されています。

この事件は、企業のトップでありながら、不正な行為に手を染めてしまったこと、そして、それによって企業だけでなく、社会全体に大きな影響を与えたことを示す事例として、深く記憶されることでしょう。

もう一度検索