田邊昇学

田邊 昇学（たなべ しょうがく）氏は、1931年4月に生まれ、2008年6月10日に逝去された日本の建設分野の官僚です。特に造園や都市の緑地環境整備を専門とし、長年にわたり国の機関や関連団体で重要な役割を果たしました。

若い頃、旧制の成蹊高等学校高等科理科甲類で学び、1949年に同校を卒業されました。卒業後、キャリアの第一歩として群馬県土木部に勤務しました。その後、中央官庁である建設省（現在の国土交通省）に入省し、都市局公園緑地課長など、公園や緑地に関する行政の中枢で要職を歴任しました。

国の住宅・都市整備事業を担う特殊法人である住宅・都市整備公団においても、1982年には理事としてその運営に携わりました。ここでは、都市開発プロジェクトにおける緑地の確保や、良好な居住環境の創出に貢献しました。

長年の公務における功績は幅広く認められています。1982年には、公園緑地の発展に特に顕著な功労のあった個人に贈られる栄誉ある賞である、第7回日本公園緑地協会北村賞を受賞しました。

また、様々な公的審議会や委員会の委員としても活躍しました。例えば、東京都の公園行政に関する重要な事項を審議する東京都公園審議会の会長を務め、首都の緑化政策に提言を行いました。さらに、都市公園法の施行から五十周年を記念する実行委員会委員として、関連事業の推進にも関わりました。国内の公園緑地分野で最も主要な団体の一つである日本公園緑地協会では、会長という重責を担い、公園緑地の普及啓発、技術向上、そして関連業界の振興に大きく貢献しました。

実務経験に加え、学術的な探究も深めました。2007年、つまり死去の前年にあたる時期に、東京大学から博士（農学）の学位を取得しています。この時の博士論文は、『20世紀後半期における都市およびその都市圏の変遷に関する比較研究』と題され、長年の経験に裏打ちされた専門的知見を示す内容でした。

著作活動としては、広域的な緑地やオープンスペースの計画に関する専門書『広域緑地・オープンスペース計画』があります。この書籍は、日本地域開発センターが実施する地域プランナー研修講座の講義録として刊行されました。

田邊氏は、2008年6月10日に呼吸不全のため、77歳でその生涯を閉じました。日本の都市環境に不可欠な公園や緑地の整備・発展に尽力し、豊かなまちづくりに貢献した人物として、その功績は今もなお評価されています。

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