田頭欣士

田頭 欣士（たがしら きんじ）氏は、1971年5月22日に岡山県で生まれました。社会人野球界において、選手そして監督として多大な功績を残した人物です。

高校時代は地元岡山県の倉敷商業高校に進学し、野球部で活躍。甲子園球場の土を踏む経験もしており、1989年夏の全国高等学校野球選手権大会ではチームのベスト8進出に貢献するなど、早くからその才能の片鱗を見せていました。

高校卒業後、立命館大学へ進学。関西学生野球リーグにおいて優勝を経験し、全国大学野球選手権大会にも出場するなど、大学球界でも確かな足跡を残しました。

1994年、大学を卒業した田頭氏は、三菱自動車水島（現在の三菱自動車倉敷オーシャンズ）に入社し、社会人野球の世界に飛び込みます。入社後間もなく、その強打と好守備を武器に遊撃手のレギュラーポジションを獲得。チームの中心選手として頭角を現しました。特に1996年には、三菱重工広島の補強選手として都市対抗野球大会に出場。チームの準優勝に大きく貢献し、大会優秀選手（遊撃手部門）に選出されると共に、この年の社会人ベストナイン（遊撃手）も獲得するなど、選手としての評価を不動のものとしました。

その後も持ち前の力強いバッティングを活かし、チームの顔として中国地区の社会人野球を牽引し続けました。一時期は三塁手としてもプレーし、1999年の第70回都市対抗野球大会では三塁手として優秀選手に選ばれています。また、2000年の第52回JABA京都大会では打撃賞を獲得するなど、打撃面での実力も高く評価されていました。

国際舞台での活躍もありました。1995年には第12回、1997年には第13回のIBAFインターコンチネンタルカップに野球日本代表として出場。さらに1998年の第13回アジア競技大会でも日本代表に選ばれるなど、日の丸を背負って戦う経験も積んでいます。

所属チームは、2003年にクラブ登録に移行し、翌2004年にはチーム名を「倉敷オーシャンズ」と変更するなど、大きな転換期を迎えます。社会人選手として12年目を迎えた2005年、田頭氏は選手兼任監督としてチームの指揮を執ることになりました。監督としての責任を負いながらも、この年も三菱重工広島の補強選手として都市対抗野球大会に出場するなど、選手としての存在感も示しました。

2005年シーズン限りで現役選手としてのキャリアに終止符を打ち、2006年からは監督業に専念します。監督として、都市対抗野球大会への出場は惜しくも逃したものの、第33回社会人野球日本選手権大会出場を決めるなど、チームを着実に強化し、実績を残しました。2009年をもって監督の座を退きました。

社会人野球の第一線から退いた現在（2021年時点）は、社業に励む傍ら、野球への情熱は冷めることなく、東京都大田区を拠点とするボーイズリーグチーム「大田水門ボーイズ」でコーチを務め、若い世代の指導に携わっています。選手、そして指導者として、長きにわたり日本の社会人野球界に貢献した人物と言えるでしょう。

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