男はつらいよ お帰り 寅さん

映画概要

『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、2019年12月27日に公開された日本映画です。この作品は、映画『男はつらいよ』シリーズの50周年を祝う記念作であり、通算50作目にあたります。22年ぶりに完全新作としてリリースされ、今の「くるまや」とその周囲の人々の人間関係が描かれています。過去のシリーズ映像も巧みに絡められ、懐かしい思い出とともに新たな物語が展開されます。

この映画の制作に際して、多くの裏設定が盛り込まれています。例えば、登場人物の車竜造や車つねの仏壇には遺影が飾られ、また男の定年退職後のタコ社長が亡くなったことなどが示されています。シリーズの中で唯一エンドロールが存在する本作は、山田洋次監督が全編をデジタルHD撮影で仕上げ、近代的な映像美を追求しました。

特徴と音楽

映画のオープニングでは、主題歌がサザンオールスターズの桑田佳祐によってカヴァーされています。このコラボレーションは、監督の山田が桑田のファンであったことから実現し、手紙で直接オファーしたとのこと。過去にもサザンの楽曲は第40作『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』の挿入歌として使用されています。

出版社の編集長役にはカンニング竹山が登場しています。山田は彼のYouTubeでのパフォーマンスを見て、「キミしかこの役はできない」と思い、起用を決めたと明かしています。

公開と放送

本作は2019年10月28日に第32回東京国際映画祭のオープニング作品として上映され、その後2020年7月8日にDVD版とBlu-ray版がリリースされ、レンタルも開始されました。2021年3月21日にはBSテレビ東京で初めて無料放送され、2025年10月11日にも再放送される予定です。

あらすじ

物語は、諏訪満男の妻の七回忌の法要からスタートします。柴又の帝釈天の参道に位置した「くるまや」はカフェに生まれ変わり、その裏手には昔の住居が残っています。法事が終わると、家族や親しい人々は昔の思い出を語り合い、特に寅がマドンナを連れてくるたびに家が賑わったことを懐かしみます。半世紀の時が流れ、満男は長いサラリーマン生活を経て小説家となり、その新作の評判が上々です。

そんな中、彼のサイン会に初恋の相手である及川泉が現れます。イズミは現在ヨーロッパで生活しているものの、仕事のために来日していたのです。久しぶりの再会に動揺する満男は、イズミを小さなJAZZ喫茶に連れて行きます。そこで、彼が経営しているのは20年以上前に寅が愛したリリーでした。このように昔の仲間との再会や思い出が、満男とイズミに温かな感情をもたらします。

イズミはその夜、「くるまや」を訪れることになり、物語は新旧の絆が交錯する感動的なクライマックスへと向かいます。

ロケ地

撮影は東京の柴又や日本橋、八重洲、神田神保町、文京区など、さまざまな場所で行われ、神奈川や千葉、鳥取の地方も含まれています。このロケーションが映画にリアリティを与えています。

受賞

この作品は第44回日本アカデミー賞でいくつかの賞を受賞しており、優秀作品賞や優秀脚本賞など多くの栄誉に輝いています。特に女優の倍賞千恵子は優秀主演女優賞を受賞しました。

まとめ

『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、過去を振り返りつつ、現在の人々との絆を深める感動的なストーリーを展開しています。懐かしさと新しさが融合した、この作品は多くの観客に届くことでしょう。

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