男はつらいよ 純情篇

映画『男はつらいよ 純情篇』の概要

1971年1月15日に公開された『男はつらいよ 純情篇』は、日本の人気映画シリーズ『男はつらいよ』の第6作です。物語は、旅好きの主人公、車寅次郎の故郷へ対する思いや人間関係の温かさを描いています。この映画は、観客動員85万2000人、配給収入2億3000万円を達成し、映画界で大きな成功を収めました。

あらすじ

映画は、寅次郎の独白から始まります。自身を「意気地無し」と評しつつも、旅の途中、故郷の思いに駆られる寅次郎は、長崎の港で赤ん坊を背負った女性、絹代と出会います。彼女は、甲斐性のない旦那の愚痴をこぼし、宿代がないため寅次郎から助けを求めるのです。絹代の姿は、同じく赤ん坊を抱えるさくらに重なり、寅次郎は彼女に同情を覚えます。

絹代は、夫と駆け落ちしてきたため、実家に戻れずに苦しんでいます。寅次郎は彼女の実家がある福江島まで同行し、そこで絹代の父、千造と出会います。千造は娘に夫のもとに戻るようアドバイスし、「一度は好きになった男なのだから、必ず良い所がある」と説得します。この言葉に感化された寅次郎は、失敗したときには帰れる故郷があると思い込み、いつまでも一人前になれないと感じます。そんな中、最終便の汽笛を耳にし、故郷を思い出した寅次郎は、急いで柴又へ帰ることを決意します。

寅次郎が帰ると、とらやには美人の下宿人、夕子がいます。彼女はつねに感性豊かな人間関係の中で自分を見出そうとしています。夕子と寅次郎の間には微妙な感情が芽生えますが、夕子は別居中の夫からの連絡に心を揺らされていました。

一方、博は、朝日印刷を辞め独立したいと考えていますが、社長はそれに反対。寅次郎は二人の間を取り持とうとしますが、両者の主張に影響され、仲介は失敗に終わります。それでも、博の父からの手紙により、博は独立を諦め、事態は収束します。

涙と笑いの別れ

寅次郎は夕子に想いを寄せていましたが、夕子が連れ戻され、結局は別れに。寅次郎はその瞬間、笑顔を見せながら心の中で泣いています。旅立つ前に、さくらと昔の家出の思い出を語り合い、互いに感慨にふけります。駅での別れの言葉「いつでも帰っておいでね」に対し、寅次郎は自らの一人前になれない状況を語ることができずにいます。

まとめ

『男はつらいよ 純情篇』は、数あるシリーズの中でも人間ドラマが色濃く反映されています。寅次郎が出会う人々との交流、彼らの悩みや喜びが描かれ、心温まる物語となっています。また、シュールな笑いと哲学的なテーマを交えたこの作品は、シリーズを通じての深いメッセージが込められています。タコ社長の妻や源公など、登場人物の魅力的なキャラクターも作品を引き立てています。ただのコメディではなく、人生の機微を捉えた映画です。

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