男女の賃金差

男女の賃金差についての概観

男女の賃金差は、労働市場において男女が受ける賃金の違いを意味し、一般的に男性の賃金に対して女性の賃金がどれだけ低いかを示す指標です。OECD（経済協力開発機構）および欧州委員会などがこれに関する統計データを公表しており、その定義は国や地域によって異なります。

OECDにおける賃金差

OECDの2008年度の『Employment Outlook』レポートによると、女性の労働参加率は着実に向上しているものの、依然として男女の雇用機会の格差と賃金差は存在しています。具体的には、女性は男性に比べて約20%も労働機会が制限されており、同じ仕事をしていても男性に比べて17%の賃金が低い状況にあります。このレポートでは、労働市場における差別が賃金の違いに大きく影響していることにも触れています。特に、OECD諸国では賃金差の約30%が差別的慣行によって生じているとされています。

2020年時点で、日本はOECD諸国中で男女の賃金差が最も大きい国の一つとして、韓国やイスラエルに次いで三番目となっています。

欧州連合の状況

欧州連合（EU）では、男女間の賃金差はその挙げられた平均時給の違いとして理解されています。Eurostatのデータに基づけば、EU加盟国全体での平均的な賃金差は2008年時点で17.5%に達しています。しかし、国によって状況は異なり、イタリアやルーマニアなどでは賃金差が10%以下である一方、エストニアやオーストリアなどでは25%以上の賃金差が存在します。

特に英国では、パートタイム就業、教育の背景、雇用主企業の規模などが賃金差の要因として挙げられます。また、女性が管理職や専門職として少ないことも重要な要因です。

日本における賃金差の実態

日本の厚生労働省が発表した『平成29年賃金構造基本統計調査』によると、一般労働者全体で304.3千円、男性335.5千円、女性246.1千円という賃金が確認されています。前年と比較すると、男女全体と男性ではそれぞれ0.1%の増加が見られますが、女性の賃金は0.6%増に達し、過去最高を記録しました。それでも、男女間の賃金格差は、1976年以降最少の73.4%となっています。

また、日本の労働市場では、女性の雇用者の半数以上が非正規雇用であり、出産や育児といったライフイベントによって就業率が低下する「M字カーブ」の問題が顕著です。このように、男女の賃金差には社会構造や文化的な要因が深く関与しています。

まとめ

男女の賃金差は、世界中の多くの国で問題視されており、女性の労働市場への参加が進んでいるにもかかわらず、その賃金は依然として低いという現実が存在しています。OECDやEU、日本での具体的なデータを通じて、男女間の賃金差の実態を理解することは、今後の政策決定や労働環境の改善において重要な意味を持つと言えるでしょう。

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