畑中章宏

畑中章宏：民俗学と写真を通して探る、日本の深層

畑中章宏氏は、1962年大阪府大阪市生まれの文筆家、編集者です。近畿大学法学部卒業後、平凡社に入社し、『月刊太陽』編集部に所属。同誌で『荒木経惟写真全集』、『別冊太陽　神像の美』、『日本の秘仏』など、数々の書籍の編集に携わりました。その後、多摩美術大学特別研究員や日本大学芸術学部講師を歴任するなど、学術的な活動にも積極的に取り組んでいます。

氏の専門は、民俗学と写真です。これらの分野を融合させ、日本の歴史や文化、人々の精神性を探求する独自の視点で多くの著作を発表しています。その作品群は、単なる学術的な研究にとどまらず、一般読者にも分かりやすく、興味深い内容で知られています。

著作は多岐に渡り、日本の神道や神社、災害と民俗信仰、歴史上の人物や出来事など、日本の文化と歴史の様々な側面を多角的に考察しています。例えば、『日本の神様』では、親しみやすい語り口で日本の神々を紹介し、『神社に泊まる 日本全国癒しの宿坊ご案内』では、癒しと休息の場としての神社の魅力を伝えています。『柳田国男と今和次郎 災害に向き合う民俗学』や『災害と妖怪 柳田国男と歩く日本の天変地異』では、災害と民俗学の関連性を深く掘り下げています。

また、古典文学や歴史的事件を独自の視点で再解釈した作品も多数あります。『ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか 新美南吉の小さな世界』では、日本の児童文学の代表作である『ごんぎつね』を新たな視点から考察し、『「日本残酷物語」を読む』では、芥川龍之介の代表作を詳細に分析しています。さらに、『廃仏毀釈　寺院・仏像破壊の真実』や『医療民俗学序説　日本人は厄災とどう向き合ってきたか』など、歴史的、社会的な出来事を民俗学の視点から考察した著作も発表しています。

近年では、『宮本常一　歴史は庶民がつくる　今を生きる思想』や『傍流の巨人 渋沢敬三　民俗と実業の昭和史』など、歴史上の人物に焦点を当てた評伝も執筆しています。宮本常一の思想や、渋沢敬三の生涯と業績を、民俗学的な視点を取り入れながら深く掘り下げています。これらの著作を通じて、畑中氏は、歴史や文化、そして人々の暮らしの中に隠された真実を明らかにしようと試みています。

共著として、『神道の美術』や『宮本常一と写真』なども手がけており、多様な分野の専門家との協働を通して、より深く日本の文化や歴史を探求しています。柳田国男の『遠野物語』を現代語訳した作品も発表しており、古典を現代に伝える活動にも積極的に取り組んでいます。

畑中章宏氏の著作は、学術的な厳密さと、一般読者への分かりやすさを兼ね備え、日本の文化や歴史を深く理解するための貴重な資料となっています。彼の幅広い知識と、独自の視点から生み出される作品は、今後も多くの読者を魅了し続けることでしょう。さらに、X（旧Twitter）でも情報発信を行っており、幅広い層と積極的に交流しています。

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