畑博行

畑博行：日本の憲法学を牽引した巨星

畑博行氏(1930年1月18日-2023年9月4日)は、日本の憲法学界において、卓越した功績を残した著名な法学者でした。兵庫県明石市に生まれ、明石高等学校を経て神戸市立外事専門学校を卒業後、京都大学法学部に進学、卒業と同時に運輸省航空局に入局しますが、まもなく退官しています。その後、京都大学大学院(旧制)を修了し、学究の道へと進みました。

1960年、広島大学政経学部助手としてキャリアをスタートさせ、専任講師、助教授を経て1972年には教授に昇進。その間、1970年から1971年にかけてはコロンビア大学法科大学院客員スカラーとして研鑽を積んでいます。1977年には広島大学法学部教授に転じ、1986年にはハワイ大学客員教授も務めました。広島大学では法学部長、大学院社会科学研究科長、大学長補佐と要職を歴任し、組織運営にも大きく貢献しています。さらに、ミュンヘン大学客員教授も務めるなど、国際的な活動にも積極的に取り組んでいました。

1992年には近畿大学法学部教授に就任。以後、近畿大学においても、法学部長、理事を経て、2004年から2012年まで学長を務め、大学の運営と発展に尽力しました。近畿大学法科大学院設置準備委員会委員長も歴任し、法科大学院の設立にも重要な役割を果たしています。

畑氏の研究はアメリカ合衆国の政治と憲法に深く関与しており、学位論文である『アメリカの政治と連邦最高裁判所』(1992年、明石書店)を始め、国際人権法や日本の憲法に関する多くの著作を残しています。代表的な著書には、『世界の憲法集』(共編著、有信堂高文社)、『国際人権法概論』(共編著、有信堂高文社)、『憲法フォーラム』(共編著、有信堂高文社)、『アジア憲法集』(共編著、明石書店)などがあり、これらは憲法学研究に多大な貢献を果たしたと高く評価されています。

学術研究活動に加え、畑氏は広島市政功労表彰(1989年)、法務大臣表彰(1991年)、藍綬1994年'>[褒章]、瑞宝重光章(2012年)など数々の栄誉ある賞を受賞し、その功績は広く社会に認められました。

畑博行氏は、長年にわたり教育・研究活動、そして大学運営に献身的に取り組み、日本の憲法学、ひいては法学界全体の発展に多大なる貢献を果たした、まさに巨星と言える存在でした。その功績は、後世の憲法学者たちに長く語り継がれることでしょう。彼の残した著作は、これからも多くの研究者や学生にとって貴重な学びの資源となるに違いありません。

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