畝

畝（うね）とは

畝とは、畑で作物を栽培するために、土を細長く直線状に盛り上げた部分のことです。英語では「hilling」または「hill」と呼ばれます。畝を作ることで、作物の生育環境を整え、収穫量を増やすことができます。

畝の目的

畝には、主に以下の3つの目的があります。

1. 排水性の向上: 畝を作ることで、雨水が溜まりにくくなり、畑の排水性が向上します。これにより、作物の根腐れを防ぐことができます。
2. 通気性の向上: 畝の斜面から水や空気がスムーズに出入りすることで、土壌の通気性が向上します。これにより、作物の根の生育を促進することができます。
3. 地温の上昇: 畝は表面積が広くなるため、太陽光をより多く浴び、地温が上がりやすくなります。これにより、作物の生育を早めることができます。

畝の構造

通常、畝は両脇から土を寄せて作るため、台形のような形状をしています。この台形の底辺の長さを「畝幅」と呼びます。また、単位面積あたりの植え付け株数を「栽植密度」と呼び、これは畝の数と株間の間隔によって決まります。

種まきや苗の植え付けは、この畝の上に行います。最近では、セルと呼ばれる小型の育苗容器で育てた苗を、畝土に押し込んで定植する「セル苗（プラグ苗）」が普及しています。

ただし、畝を作る必要がない場合や、畝を作らない方が作業効率が良い場合には、「畝なし栽培」が採用されることもあります。

畝の種類

畝には、主に以下の種類があります。

普通畝: 自然な山形に土を盛り上げた、一般的な畝です。
ベット畝: 畝の上を平らにならして作る畝です。
平畝: 高さの低い畝です。一般的に10cm以下のものを指します。
高畝: 高く土を盛り上げた畝です。一般的に20cm以上のものを指します。

畝の高さは、土壌の湿度を調整する上で重要な要素です。一般的に、高い畝ほど乾きやすく、低い畝ほど湿り気があります。

平畝

平畝は、野菜全般に広く用いられる一般的な畝です。高さが低いため、作業性が高いという利点があります。葉物野菜や、カブ、ニンジンなどの根菜類を栽培する際に、平畝の中央に筋状に種をまいたり、複数列に並べて種をまいたりします。

高畝

高畝は、根を深く張る野菜類に適した畝です。水はけの悪い粘土質の畑や、水田を転換した畑など、地下水位が高い畑でよく利用されます。トマトやサツマイモなどの栽培に用いられることがあります。

鞍つき畝

鞍つき畝は、1株ごとに直径30cm～50cmの穴を掘り、その底に元肥を入れ、土を埋め戻し、さらに地表から15cm～20cm程度の高さにマウンド状に盛り上げて作ります。スイカやカボチャなどの栽培に用いられ、高畝の一種とされることもあります。

溝畝

溝畝は、ジャガイモやサトイモ、ネギなど、作物の成長に合わせて株元に土を盛り上げていく「土寄せ」を行う栽培方法で用いられます。最初は溝を掘った低い位置から始め、成長とともに土寄せをして株元に土を盛り上げていきます。特にジャガイモ栽培では、天然毒素（ソラニン）の生成を抑えるため、イモが光に当たらないように土寄せをすることが重要です。

畝の作業

畝を作る作業は、まず畑を耕すことから始まります。あらかじめ堆肥などの元肥を入れて耕した畑に、作物の種類や植え付け方、マルチングの有無などを考慮して、適切な形の畝を立てます。この畝を作る作業を「畝立て」と言います。

畝立ては、手作業で鍬を使って行うこともできますが、耕うん機を使うこともあります。畝の位置や高さを決める際には、さくり縄や尺棒を使って、畝がまっすぐになるように計測します。

通常、作物の収穫が終わると、次の作物を栽培するために畝を立て直します。これを「畝換え」と言います。

また、肥料を施す位置によって、「畝内施肥」や「畝上施肥」といった方法があります。畝上施肥は、畑全体に肥料を施す全面全層施肥に比べて、肥料コストを抑えることができます。

畝の転義

畑の畝のように、高低のある状態が水平に続くものを、比喩的に「畝」と呼ぶことがあります。地形や道、反物に使われるほか、動物の部位にも使われます。例えば、ワニの鼻先の筋や、ナガスクジラ科のヒゲクジラの腹部の筋も「畝」と呼ばれます。ヒゲクジラの腹部の畝は、餌を海水ごと飲み込む際に蛇腹のように広がるためのものです。

また、架空の生物にも、クジラの畝を持つものが多く存在します（例：ウルトラマンのガマクジラ）。

まとめ

畝は、畑で効率的に作物を育てるために欠かせない要素です。畝の目的、種類、高さによる違いを理解し、それぞれの作物に適した畝を作ることで、より良い収穫を目指しましょう。

出典

[出典元を記載]

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