疎結合クラスター

疎結合クラスターとは？

疎結合クラスターは、複数のコンピュータ（ノード）を連携させて構成されるコンピュータ・クラスターの一種です。密結合クラスターと異なり、ノード間でメモリやディスク、CPUといったシステムリソースを共有しません。各ノードは独立して動作し、必要最低限の情報のみを交換することで協調動作を実現します。

この特徴から、疎結合クラスターは高いスケーラビリティを備えています。ノードを追加することで、容易にシステム全体の処理能力を向上させることができます。各ノードは独立しているため、あるノードに障害が発生しても、他のノードの動作に影響を与える可能性は低く、システム全体の可用性も高まります。

しかし、ノード間でリソースを共有しないということは、ノード間のデータ連携や同期に工夫が必要であることを意味します。そのため、疎結合クラスターでは、ノード間の通信を効率的に行うためのメッセージング機構が重要な役割を果たします。各ノードは、必要な情報のみをメッセージとしてやり取りし、全体としての整合性を保ちます。

システム全体の統合性を維持するために、通常はロードバランサなどの上位システムが導入されます。ロードバランサは、クライアントからのリクエストを複数のノードに分散させる役割を果たし、システム全体の負荷を調整します。また、ノードの状態監視や障害発生時の対応なども上位システムの役割となります。

疎結合クラスターは、様々な場面で活用されています。例えば、大規模なWebサイトのWeb[[サーバ]]ー群は、疎結合クラスターとして構成されていることが多くあります。各Web[[サーバ]]ーは独立して動作し、ロードバランサによってクライアントからのリクエストが分散されます。これにより、高い可用性とスケーラビリティを実現できます。

また、科学技術計算分野でも、疎結合クラスターは広く利用されています。大規模なシミュレーションや計算処理を行う際には、複数のコンピュータを連携させることで処理時間を短縮できます。この場合も、各ノードは独立して計算を行い、結果を必要に応じて交換することで全体としての計算結果を得ます。

疎結合クラスターのメリット

高いスケーラビリティ: ノードの追加・削除が容易で、システムの拡張が容易です。
高い可用性: あるノードに障害が発生しても、システム全体への影響を最小限に抑えることができます。
柔軟性: 異なる種類のノードを組み合わせることが可能です。

疎結合クラスターのデメリット

ノード間のデータ連携が複雑になる可能性がある: メッセージング機構の設計・実装に工夫が必要です。
* 上位システムによる管理が必要: システム全体の整合性を確保するために、ロードバランサなどの上位システムが必要です。

密結合クラスターとの違い

密結合クラスターは、ノード間でメモリやディスクなどのリソースを共有するクラスターです。一方、疎結合クラスターは、リソースを共有しません。密結合クラスターは、ノード間のデータ連携が容易な一方で、スケーラビリティや可用性が低い傾向があります。疎結合クラスターは、スケーラビリティや可用性が高い一方で、ノード間のデータ連携が複雑になる可能性があります。それぞれの特性を理解した上で、適切なクラスターを選択することが重要です。

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