疎開道路

疎開道路について

疎開道路（そかいどうろ）は、第二次世界大戦中に空襲による火災の延焼を防ぐために設計された道路であり、特定の地域では建物の疎開のために整備、または拡張が行われました。特に東京都荒川区、大阪市、横浜市、福岡市の博多区において、これらの道路は特別な愛称を持っています。

荒川区の疎開道路

荒川区における疎開道路は通称「疎開通り」として知られ、東尾久から明治通りにかけての約1,360メートルの区道です。この道は整備後、「尾久の原防災通り」という公式名称が与えられました。地域の防災の観点からも、重要な役割を果たしている道路となっています。

大阪の疎開道路

大阪市では、特に東成区から生野区へと続く市道上新庄生野線が疎開道路として機能しています。元々、この区間は昭和12年に認可を受けた都市計画の一環であったものの、既に住宅密集地となっていたため、用地の取得が難航することが予想されていました。しかし、1944年にはこの計画が防火空地帯としての用途に転用され、国の命令によって建物が疎開され、道路が整備されることとなりました。実際に撤去工事は1944年3月末に開始され、約2ヶ月後には全ての工事が完了しました。

横浜の疎開道路

1944年初頭、横浜市では建物疎開を推進するために臨時の疎開課が設立されました。この年の4月には、都市疎開事業の第1次指定が行われ、特に鶴見区では工場周辺の民家が取り壊されるなどの改善が見られました。最終的には第1次から第10次までの指定が行われ、最後の方では磯子区の160戸の建物と、幅員8メートルの消防道路が選定されました。これらの措置によって、横浜大空襲の際には火災の延焼防止や住民の避難に寄与しました。現在も残る疎開道路の愛称には、根岸疎開道路、坂下疎開道路、滝頭疎開道路などが含まれ、地域の名所となっています。

福岡の疎開道路

福岡市博多区御供所地区にある疎開道路は、1945年の米軍による空襲を見越して設けられたもので、大小6町にわたり約600メートルにわたる横断道が造られました。福岡市は、この道の設置により戦争による被害を最小限に抑えようと試みました。このように、日本各地に点在する疎開道路は、いずれも空襲の脅威に対抗するための重要な施策の一環だったのです。

参考文献・関連資料

• - 『磯子の水辺から -堀割川 その復権-』2001年3月 堀割川の会編
• - 広報よこはま磯子区版ホームページ2007年8月版（2009年3月26日アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project

関連項目

• - 平和大通り: 第二次世界大戦中に建物の疎開に伴い生まれた空き地が基となり、戦後に新たに設けられた通り。
• - 桶屋町 (福岡市): 福岡市博多区にかつて存在した旧地名で、疎開道路との関連も存在します。

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