療養費詐欺

療養費詐欺とは

療養費詐欺とは、本来医療費の給付対象となるべき治療が行われていないにも関わらず、あたかも治療が行われたかのように偽って療養費を不正に請求し、金銭を得る行為を指します。これは、医療保険制度の根幹を揺るがす重大な犯罪行為であり、発覚した場合には保険医療機関の指定取り消しや、詐欺罪として刑事責任を問われる可能性があります。

厚生労働省の調査によれば、2013年度には不正が発覚し保険医療機関の指定を取り消された機関は59に上り、不正請求額は合計で146億円にも達しました。この数字からも、療養費詐欺が組織的かつ大規模に行われている現状が伺えます。

[療養費]]の制度については、「[療養費」を参照してください。

療養費詐欺の種類

療養費詐欺は、その主体や手口によっていくつかの種類に分類されます。

医療機関による詐欺

医療機関が主体となる詐欺は、患者の保険証を不正に利用して架空の診療をでっち上げ、療養費を請求する手口です。例えば、患者が実際には通院していないにも関わらず、通院記録を偽造して診療報酬を請求したり、接骨院や歯科医院などで、患者が知らないうちに少額の請求を繰り返すなどのケースがあります。過去には、テレビ番組に出演するような有名女医が勤務するクリニックが、架空請求に関与していた事件も報道されました。

医療機関による詐欺は、制度を悪用し、発覚を逃れようとする悪質なケースが多いのが特徴です。

患者による詐欺

患者が主体となる詐欺は、海外での治療を装って療養費を不正に請求する手口です。海外の医療機関は確認が難しいため、実際には治療を受けていないにもかかわらず、海外で高額な医療費を支払ったと偽り、還付を求めるケースがあります。この手口は、有名人の関係者が関与したことでニュースで大きく取り上げられました。海外療養費の不正請求に対しては、取り締まりが強化されています。

医療機関と患者が結託した詐欺

医療機関と患者が共謀して行う詐欺も存在します。この場合、患者が医療機関から報酬を受け取ることで、架空の治療に協力するケースが見られます。過去には、数百人のアルバイト感覚の芸人らが関与した大規模な詐欺事件も発生しています。

還付詐欺

療養費の還付を騙る詐欺も存在します。この手口は、市役所の職員を名乗り、架空の還付金があるとして、口座番号などの個人情報を聞き出そうとするものです。保険医療課では、還付金がある場合には文書で通知しており、電話で連絡することはありません。不審な電話には十分注意が必要です。

対策と課題

各医療保険者では、療養費詐欺への対策として、患者に対して調査票や受診照会書を送付するなど、直接的な調査を行っています。しかし、患者が医療機関と結託した場合、摘発だけでは根本的な解決には至らないという指摘もあります。審査体制自体にも問題があり、制度の脆弱性を改善していくことが課題となっています。

関連項目

還付金詐欺
療養費の不正請求

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