白い暴動 (アルバム)

ザ・クラッシュ 『白い暴動』：パンクの精神と多様な音楽性の融合

ザ・クラッシュのデビューアルバム『白い暴動』は、1977年にイギリスで、1979年にアメリカでそれぞれ異なるバージョンでリリースされました。このアルバムは、単なるパンク・ロックの枠を超え、レゲエや初期ロックンロールなど、多様な音楽的影響を大胆に取り入れた先駆的な作品として、音楽史にその名を刻んでいます。

制作の背景

1977年、CBSレコードのミカエラ・レコルデの尽力により、アルバムは制作されました。プロデューサーにはミッキー・フットが起用され、レコルデのホームスタジオでのリハーサルを経て、CBSの第3スタジオで録音が行われました。制作費はわずか4000ポンドという低予算でしたが、バンドの創造性と情熱が注ぎ込まれました。

アルバムジャケットの写真は、カムデン・マーケットにあるビルの向かいの路地で撮影されました。また、裏ジャケットには、1976年のノッティング・ヒル・カーニバルでの暴動の様子が使用され、アルバムのテーマである社会への反抗を象徴しています。

音楽性と収録曲

『白い暴動』は、パンク・ロックの荒々しいエネルギーと、レゲエやロックンロールのリズムが融合した独特のサウンドが特徴です。ジョー・ストラマーとミック・ジョーンズのソングライティングコンビによる楽曲は、社会への不満や若者の焦燥感を鋭く描き出しています。

アルバムには、「ジェニー・ジョーンズ」、「リモート・コントロール」、「反アメリカ」、「白い暴動」、「ロンドンは燃えている!」など、ザ・クラッシュの代表曲が多数収録されています。特に、「ポリスとコソ泥」は、ジュニア・マーヴィンとリー・ペリーによる楽曲のカバーで、6分を超える長尺でありながら、レゲエのリズムとパンクの精神が見事に融合した名演として知られています。

アメリカ盤と日本盤

アメリカでは、デビューアルバムは2枚目のアルバム『動乱』の1年後に発売されました。アメリカ盤は、イギリス盤とは収録曲が一部異なり、「クラッシュ・シティ・ロッカーズ」や「アイ・フォウト・ザ・ロウ」などが追加されています。また、アルバム未収録曲やシングルのB面曲が追加収録されています。

日本では、イギリス盤とは別に『パール・ハーバー'79』として1979年にオリジナルジャケットで発売されました。

メンバー

ジョー・ストラマー - ギター、ボーカル
ミック・ジョーンズ - ギター、ボーカル
ポール・シムノン - ベース
テリー・チャイムズ - ドラムス

評価と影響

『白い暴動』は、全英アルバムチャートで最高12位を記録し、『ローリング・ストーン』誌が選ぶ「オールタイム・ベスト・アルバム500」と「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」において、それぞれ81位と12位にランクインするなど、高い評価を受けています。

このアルバムは、その後のパンク・ロック・シーンに大きな影響を与え、多くのミュージシャンにインスピレーションを与えました。ザ・クラッシュは、『白い暴動』を皮切りに、音楽を通じて社会にメッセージを発信し続け、世界中の若者たちを魅了しました。

まとめ

『白い暴動』は、ザ・クラッシュの原点であり、パンク・ロックの精神と多様な音楽性が融合した名盤です。社会への反抗、若者の焦燥感、そして音楽への情熱が凝縮されたこのアルバムは、時代を超えて聴き継がれるべき作品と言えるでしょう。

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