白い本 (書籍)

白い本とは

『白い本』（しろいほん）は、装丁は通常の書籍と同じですが、ページはすべて意図的に白紙で構成されている独特な冊子です。この本は、時にノートブックとして使用されることもあり、実用性を兼ね備えています。

出版歴

1986年に流通が開始された『白い本』は、1971年にA5判として初めて出版されました。日本の国立国会図書館では、この書籍を日本十進分類法に基づき「雑著」に分類されており、特に「049.1」に該当します。興味深い点は、そのタイトル『白い本』が本体には記載されておらず、帯にだけ表記されていることです。この本を発行する出版社は二見書房であり、同系列の文庫版『小さな白い本』も存在します。

束見本

書籍制作過程において、束見本（つかみほん）と呼ばれるものが作成されることがあります。これは、書籍の装丁やページ数が決定した際に、最終的な形を確認するために印刷される白紙の冊子です。束見本は、実際の出版に先立って配布され、スポンサーや関係者へのプレゼントや宣伝用に用いられることもあります。場合によっては、製作途中で表紙や一部の紙面が印刷されたものも存在します。

エンプティ・ブック

英語圏において、内容が白紙の書籍はエンプティ・ブック（empty books）またはブランク・ブック（blank books）と呼ばれ、意図的に形式的なタイトルが付けられます。これらの本は、風刺や問題提起の手段として出版されることが多く、時には商業的に成功を収めることもあります。例えば、2017年の『ガーディアン』紙では、こうしたエンプティ・ブックの出版が政治的なパロディとして高く評価された一方で、単なる「冗談」となる流れが散見されると述べられました。

代表的なエンプティ・ブック

以下は、近年出版されたエンプティ・ブックの例です。

• - Sheridan Simoveによる『What Every Man Thinks About Apart from Sex』(2011)

- イギリスの大学生に人気で、ノートとして使われた。

• - Jimmy Moncriefの『Everything Obama Knows About The Economy』(2011)
• - Shed Simoveの『Fifty Shades of Gray』(2012)

- 全200ページが異なる灰色のページで構成されており、法的措置を受けた結果、回収された。

• - Sassy Johnsの『Why Dogs are Better than Cats』(2014)

- 100ページに及ぶ内容。

• - Ann Alystiamの『Surprising Reasons to Believe Trump Will Be a Great President!』(2016)
• - David Kingの『Why Trump Deserves Trust, Respect and Admiration』(2016)
• - Michael J. Knowlesの『Reasons To Vote For Democrats: A Comprehensive Guide』(2017)
• - Assaf Vollの『A History of the Palestinian People』(2017)

これらの書籍は、タイトルにもかかわらず中身は白紙であるという面白い共通点を持ちます。特に、実社会のさまざまなテーマを通じて、言葉の力とユーモアの意義を再考させるものです。

その他の考察

近年、『白い本』やエンプティ・ブックのように、見た目やタイトルに反して中身が空虚である書籍は、単なる風刺だけでなく、読者に深く考えさせる試みとしても機能しています。このような書籍が持つ非伝統的な要素は、内容の在り方や書物の意義について再評価する良い材料となりえます。また、こうした本が市場に登場する背景には、消費社会や情報過多の時代において「何が本当の価値なのか」を問い直す姿勢が伺えます。

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