白い部屋 (麻丘めぐみの曲)

白い部屋

「白い部屋」（しろいへや）は、日本の歌手、麻丘めぐみによって1974年4月5日に発表された通算8枚目となるシングルレコードです。この作品は、当時麻丘めぐみの楽曲を数多く手がけ、ヒットを連発していた作詞家の千家和也氏と作曲家の筒美京平氏による共同制作であり、特に前年の大ヒット曲「わたしの彼は左きき」と同じコンビが再び組んだことでも注目されました。発売はビクター音楽産業からです。

楽曲の背景と評価

この「白い部屋」は、麻丘めぐみにとっていくつかの点で特別な意味を持つ作品となりました。デビューシングル「芽ばえ」以来、彼女のシングルはオリコンチャートのベストテンに必ずランクインするという快進撃を続けていましたが、本作は残念ながら初めてその連続記録が途絶え、ベストテン入りを逃す結果となりました。これは、当時のアイドル界における競争の激しさや、楽曲に対する評価など、様々な要因が複合的に影響した結果と言えるかもしれません。

さらに、このシングルが発売された時期は、麻丘めぐみが非常に困難な状況に置かれていた最中でした。発売に先立つ1974年3月、彼女は東京の日劇（日本劇場）で開催されていたリサイタルの公演中に、舞台セットから転落するという重傷を負う事故に見舞われました。この事故により、彼女は一時的に活動を休止せざるを得ない状況に陥り、療養生活を送ることとなりました。その療養期間中に、この「白い部屋」は世に送り出されたのです。怪我からの回復を願うファンの思いと、本人の逆境が重なった時期のリリースであり、この楽曲にはそうした背景が色濃く反映されていると感じるファンも少なくありません。

収録曲

本作に収録された両楽曲は、いずれも作詞を千家和也氏が、作曲を筒美京平氏が担当しています。

白い部屋
作詞：千家和也
作曲：筒美京平
編曲：筒美京平

ウェディング・ドレス
作詞：千家和也
作曲：筒美京平
編曲：高田弘

A面の「白い部屋」は作曲者である筒美京平氏自身が編曲も手掛けており、作家の意図がよりダイレクトに反映されたサウンドとなっています。一方、カップリング曲の「ウェディング・ドレス」は、高田弘氏が編曲を担当し、異なる音楽的アプローチが試みられています。同じ制作陣による楽曲でありながら、編曲家が異なることで、それぞれの楽曲が独自の魅力を放っています。

主な収録アルバム

この「白い部屋」は、その後の麻丘めぐみのアルバムやベスト盤にも多数収録されています。代表的なものとしては、彼女の初期キャリアを網羅したボックスセット『麻丘めぐみBOX 72-77』や、ヒット曲を集めたゴールデン☆ベストシリーズの『GOLDEN☆BEST 麻丘めぐみ』などに収録されており、現在でもこれらのアルバムを通じて聴くことができます。

カバーされた事例

「白い部屋」は、他のアーティストによってカバーもされています。女優や歌手として活躍した浅野ゆう子氏が、1974年にリリースしたアルバム『とびだせ初恋』の中でこの楽曲をカバーしています。同時代に活躍したアーティストによるカバーは、当時の楽曲の広がりを示す一例と言えるでしょう。

この「白い部屋」は、麻丘めぐみにとって商業的な成功という点ではこれまでの軌跡とは異なる結果となりましたが、彼女が困難な状況を乗り越えようとしていた時期に発表された作品として、また千家・筒美コンビによる一連の仕事の中の一曲として、今なお多くのファンの心に残る楽曲です。

もう一度検索