白貌の伝道師

白貌の伝道師：砂塵に染まる復讐劇

2004年、コミックマーケットで販売された虚淵玄による小説『白貌の伝道師』。その衝撃的な物語は、荒涼とした砂漠地帯を舞台に、復讐と裏切り、そして混沌が渦巻くダークファンタジーです。2012年には星海社より新装版が発売され、奈須きのこ氏による帯コメント「この虚淵玄は猛毒です」が話題を呼びました。

物語：絶望と混沌の狭間で

物語の中心人物は、ハーフエルフの少女アルシアと、謎めいたエルフ、ラゼィルです。人間に裏切られ、陵辱されたアルシアは、復讐を誓います。そんな彼女を助けたラゼィルは、アルシアと共に、人間への復讐を企てます。しかし、その計画はラゼィルの裏切りによって頓挫し、アルシアは更なる絶望を味わうことになります。

ラゼィルは、混沌神グルガイアに仕えるダークエルフの英雄、カオスチャンピオンでした。彼はグルガイアの信者であり、全てを神に捧げるため、無慈悲な殺戮を繰り返します。人間とエルフ、双方を巻き込んだこの壮絶な復讐劇は、谺谷というエルフの故郷を舞台に繰り広げられます。

谺谷を襲うのは、アーウィン率いる人間軍勢と、ラゼィルに仕える死体人形バイラリナです。炎に包まれ、破壊されていく谺谷で、ラゼィルの真の姿が露わになります。それは、混沌そのものの化身であり、全てを犠牲に捧げる狂信者でした。

登場人物：それぞれの思惑と運命

物語を彩る個性豊かな登場人物たちは、それぞれの思惑と運命を背負って生きています。

ラゼィル・ラファルガー: 白貌のエルフでありながら、残虐で冷酷な本性を秘めた混沌の闘士。かつて屠龍の功績を挙げ、龍の遺骸を加工した武器を操ります。死体人形を作り操る技術にも長けています。
アルシア: 人間とエルフの混血であるため、双方から蔑まれた少女。アーウィンに裏切られ、絶望の淵に突き落とされます。
ニブニール: 谺谷の長老。エルフとしての誇りを持ち、人間を憎悪しています。
ロスファン: 谺谷の若いエルフ。好奇心旺盛で冒険心も強く、ラゼィルと共に都市へと向かいます。
ラクリアス・ラファルガー: ラゼィルの兄。ラゼィルの反逆を隠匿しようとします。
アーウィン・メラネイド: アルシアを騙し、「樫の護符」を奪い、谺谷を襲う人間貴族。

彼らはそれぞれの立場と信念から行動しますが、ラゼィルの陰謀によって、運命は残酷なまでに絡み合っていきます。

世界観：混沌と秩序の狭間で

『白貌の伝道師』の世界観は、混沌と秩序が混在するダークファンタジーです。エルフと人間、そして混沌の勢力であるダークエルフが争い、復讐と裏切りが繰り返されます。

物語は、美しくも残酷な描写で、読者の心を掴んで離しません。虚淵玄特有の独特な世界観と、衝撃的な展開は、忘れられない読書体験となるでしょう。

ゲームへの出演

『白貌の伝道師』の登場人物であるアルシアは、ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-という対戦型格闘ゲームにも登場しています。

まとめ

『白貌の伝道師』は、復讐と裏切り、そして混沌が渦巻く、壮絶なダークファンタジーです。残虐な描写や衝撃的な展開は、読者に強い印象を与えますが、その一方で、それぞれの登場人物の複雑な心情や、世界観の奥深さも魅力の一つです。虚淵玄作品らしい、独特の世界観と、緻密に練られたストーリーは、多くの読者を魅了し続けています。

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