白金ナノ粒子

白金ナノ粒子とは



白金ナノ粒子（はっきんナノりゅうし）は、白金の微細な粒子によって構成されるコロイドです。プラチナナノコロイド、コロイダルプラチナなどとも呼ばれています。その特異な性質から、さまざまな分野での応用が期待されています。

特徴と用途


白金ナノ粒子は、その抗酸化作用が注目され、健康食品や化粧品の成分として利用されることがあります。また、白金は水を電気分解する際の触媒としても優れており、燃料電池の電極材料としても重要な役割を担っています。燃料電池においては、白金微粒子の状態が発電効率に大きく影響するため、その制御が重要となります。さらに、歯科医療においては、レジン接着時の材料としても用いられています。

燃料電池における白金ナノ粒子


燃料電池は、水素と酸素の化学反応を利用して発電する装置ですが、その電極には白金が微粒子として使用されています。しかし、発電に伴い白金微粒子が粗大化し、性能が低下することが課題となっています。白金粒子のサイズによって触媒活性が異なり、原子数19個の白金粒子が最も高い活性を示すことがわかっています。

電気分解における白金ナノ粒子


電気化学の分野では、水の電気分解による水素発生の研究が盛んに行われていますが、白金は最も大きな反応速度を示す金属の一つです。白金電極は電気分解中に腐食や溶解が起こりにくく、電極表面の白金原子が水素原子と結合し、水素分子を生成する過程で重要な役割を果たします。ただし、電気分解中に微量の白金ナノ粒子が溶出することも報告されています。

健康への影響


白金ナノ粒子は、抗酸化作用があるとして、化粧品や健康補助食品に利用されていますが、その安全性についてはまだ十分なデータがないのが現状です。国立健康・栄養研究所は、2008年時点で人間を対象としたデータが不足しており、安全性についてさらなる研究が必要であるとしています。また、摂食により一過性の肝臓障害を引き起こす可能性も指摘されています。

白金ナノ粒子の有効性を示唆する研究


基礎研究では、白金ナノ粒子が活性酸素を除去し、炎症を抑制する効果、アテローム性動脈硬化症を抑制する効果、紫外線による皮膚炎を減少させる効果、神経保護作用などが報告されています。また、変形性関節症や肺癌の治療への応用も研究されており、その生体適合性と抗腫瘍特性が期待されています。

マウスを用いた研究では、脳梗塞の梗塞部位の縮小、喫煙による肺の炎症の抑制、耐糖能の改善などが確認されています。歯科領域では、白金ナノコロイドによる歯の表面処理が、レジン接着強度を向上させる方法として研究が進められています。

多くの商品では、白金ナノコロイドが皮膚や腸から吸収されないとされていますが、東京大学の宮本有正教授は、白金ナノコロイドが小腸からほとんど吸収されないという研究結果を報告しています。その一方で、粒子径によっては経口摂取したものが尿中に排出されることも報告されており、更なる研究が求められています。

植物による白金ナノ粒子の合成


植物のSinapis albaやLepidium sativumは、地中の白金をナノ粒子として植物内に集積する能力があります。植物を用いた白金ナノ粒子の合成は、経済的かつ環境に優しい方法として注目されています。

白金ナノ粒子の製造方法


白金ナノコロイド溶液の製造方法については、国際公開番号WO2005/023467で特許が公開されています。この他にも、様々な製造方法が存在しています。

参考情報



白金ナノ粒子は、その優れた特性から多岐にわたる分野での応用が期待されており、今後の研究開発が非常に楽しみな素材です。

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