百度参り

百度参りとは

百度参り（ひゃくどまいり）は、日本の民間信仰の一つで、特定の神仏に対して、同一の社寺に百回参拝する行為を指します。「お百度（おひゃくど）」とも呼ばれます。

概要

百度参りは、個人的な祈願、特に切実な願いを叶えるために行われることが多いです。一度の参拝ではなく、何度も繰り返し参拝することで、より強く神仏に祈りが届くと考えられています。

元々は、近くの氏神神社や有名な社寺に百日間毎日参拝する「百日詣」が原型でした。しかし、より急を要する祈願のために、一日で百度参拝する形式が生まれ、百日詣の代わりとして行われるようになりました。

歴史を辿ると、鎌倉時代初期には百度参りが行われていたことが『吾妻鏡』などの記述からわかります。例えば、『吾妻鏡』には、文治5年（1189年）に奥州追討の祈祷のため、鶴ヶ岡に女房たちが百度参りをしたことや、仁治2年（1241年）に北条氏が鶴ヶ岡に百度願をしたことが記録されています。また、『平戸記』には、延応2年（1240年）に祇園社に百度詣をしたという記述があります。

方法

百度参りの基本的な方法は、社寺の入口から拝殿や本堂まで進んで参拝し、再び入口まで戻るという行為を百度繰り返すことです。この行為は「お百度を踏む」とも言われます。

社寺によっては、参拝の回数を数えるための「百度石」という石柱が入口近くに設置されていることがあります。参拝者は、回数を間違えないように、小石やこより、竹串などを百個用意し、参拝のたびに一つずつ拝殿や本堂に置いたり、百度石に備え付けられているそろばん状の道具を使って回数を数えたりします。

また、百度参りを行う際には、人に見られないように行う方が良いとか、裸足で行うとより効果があるといった言い伝えも存在します。

関連事項

百度参りに関連する事柄として、以下のものがあげられます。

ななとこまいり：百度参りと同じように、複数の場所を巡る参拝方法です。
石切剣箭神社（東大阪市）：お百度参りで非常に有名な神社で、日常的に多くの方が百度を踏んでいます。
宇賀山妙音院如意寺：子宮癌の女性を救うために百日参りの行をさせたことが、お百度参りの起源とされています。
御所千度参り：江戸時代後期に京都で発生した千度参りの事件で、百度参りの一種とされています。
* 白線流し（テレビドラマ）：登場人物たちが友人の回復を願って百度参りをするシーンがあります。



百度参りは、単なる信仰行為にとどまらず、人々の切実な願いや心の拠り所として、今もなお受け継がれています。その歴史や方法を知ることは、日本の文化や信仰を深く理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

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