皆伐

皆伐（かいばつ）とは

皆伐とは、森林において、ある区画内の樹木を全て伐採する方法です。伐採区画の一辺が上木の樹高の2倍以上の長さである場合、皆伐とみなされます。林業における伐採方法の一つであり、その方法にはいくつかの種類があります。

皆伐の種類

皆伐には、主に以下の4つの方法があります。

スタンダード（全）皆伐：商業的な価値の有無に関わらず、区画内の全ての樹木を伐採する方法です。この方法では、林冠は全く残りません。
パッチ（区画）皆伐：限られた区画内の樹木のみを伐採する方法です。
ストリップ（線）皆伐：列（線）に沿って樹木を伐採する方法です。風の被害を防ぐため、防風林として一部の樹木を残す場合があります。
一部を残して皆伐：ほとんど全ての樹木を伐採しますが、動物の生息や環境保全などの目的で、一部の樹木を残す方法です。

皆伐は、択伐（たくばつ）という、一部の樹木のみを選択して伐採する方法とは対照的です。択伐では、例えば商業的に価値のある木だけを選んで伐採し、その他の木は残します。皆伐は、森林の種の生存に適した環境を損なう可能性があり、森林の地力減退につながる恐れがあります。しかし、薪炭林作業とは異なり、皆伐では苗木などによる森林の再生を促すことが前提となっています。

焼畑農業との関連

粗放的な焼畑農業は、森林を焼き払い、農地に変える方法です。主に熱帯や温帯の発展途上国で広く行われていますが、森林破壊や熱帯雨林の減少の大きな原因となっています。焼畑農業では、区画内の全ての森林を焼き払うため、森林の再生が困難になる場合もあります。

林業における皆伐

林業では、収穫の目標時期が来たときに皆伐を行い、その後、新しい苗木の植林（再造林）を行います。

皆伐の問題点

皆伐は、森林生態系に大きな影響を与える可能性があります。具体的には、以下の点が問題として指摘されています。

微気象の変化：一辺が「樹高の2倍の長さ」以上の広さを伐採すると、森林の微気象が変化するとされています。これにより、森林生態系が攪乱される可能性があります。
生物相への影響：広い面積の地表を一度に直射日光にさらすことで、環境が大きく変化し、生物相全体に大きな影響を与えます。
土壌流出・崩壊のリスク：樹木を伐採し、切り株だけになった状態が続くと、土壌を確保する能力が失われ、土壌流出や崩壊、山崩れや土石流の危険性が高まります。

多くの国で、林業を営む会社や森林組合は、皆伐を「合理的で安全」な方法として採用しています。しかし、皆伐は森林破壊と同義であるという批判も多く、生物生態系の破壊や地球温暖化の一因となっているという指摘もあります。

脚注

皆伐は、森林生態系に大きな影響を与えるため、実施する際には十分な注意が必要です。
皆伐後の再造林は、森林の持続可能性を確保するために非常に重要です。

関連項目

伐採

もう一度検索