益田義信

益田義信は、1905年に東京で生まれ、1990年に亡くなった洋画家です。彼は、益田農事株式会社の取締役を務めた実業家でもありました。父は益田太郎冠者で、兄弟5人全員が名前に「信」の字を持つため、「五信」と俗に呼ばれていました。慶應義塾大学を卒業後、梅原龍三郎に師事し、絵画の道を志しました。その後、パリに留学し、芸術家としての視野を広げました。

帰国後は、国画会に所属し、その活動の中心的な役割を担いました。国際的な展覧会にも積極的に関わり、ヴェネツィア・ビエンナーレなどのコミッショナーを務めました。また、国際造形芸術連盟の会長としても、美術界の発展に貢献しました。

益田義信は、芸術活動だけでなく、社会的な貢献も果たしています。1963年に創立された日本自動車連盟（JAF）の理事を務めていた際、JAFのマークをデザインしました。このマークは、白とブルーの組み合わせで、9種類の試作品の中から最終的に選ばれたものが、益田自身も最も気に入っていたデザインだったそうです。

益田義信は、その放蕩ぶりでも知られています。戦時中にも関わらず海外へ行くなど、父と同じように豪快な生活を送りました。彼の祖父である益田孝（三井物産、日本経済新聞社の創業者）が築いた巨額の財産を使い果たしたという逸話も残っています。彼の妻である桑子は、洋鉄を最初に扱った鋼鉄商、森岡平右衛門の娘でした。

著書には、パリでの生活を綴った『さよなら巴里』があり、その他、ボナールやマティス、ブラック、モネ、梅原龍三郎など、多くの画家に関する書籍を編集・翻訳しました。特に、『ピカソと其の友達』や『親友ピカソ』といったピカソに関する翻訳書は、日本におけるピカソ理解に大きく貢献しました。

益田義信は、画家としてだけでなく、国際的な文化交流の担い手としても重要な役割を果たしました。その生涯は、芸術への情熱と、豪快で自由な生き方が混ざり合った、魅力的なものでした。

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