直信流

直信流柔道について

直信流（じきしんりゅう）は、1721年に寺田勘右衛門満英によって創設された柔道の流派です。この流派は、講道館柔道が確立される170年以上前から「柔道」という名称を使用しており、その歴史は深いものがあります。

創始者の背景

寺田満英は出雲藩士であり、父からは貞心流和術を学びました。また、叔父の頼重からは良移心当流（福野流）を習得し、刀や槍、弓馬の技術も身につけました。さらに、仙人から長生の技術を学び、禅は沢庵禅師から、儒教は林道春から教わりました。これらの学びは、彼が直心流柔術を創始する際の基盤となりました。

流派の変遷と名称の変化

1721年に発表された『直心流柔術応変』では、まだ「直心流」の名称が使用されていますが、1724年には第四代の井上治部太夫正順によって「直信流」という名称が導入されました。この流派は、その後の名称変更により「柔道」として再編成され、柔道の理念も自然に備わる「寛柔温和の徳性」に則ったものであると宣言されました。現在、直信流は2008年に設立された直信流柔道研究会を通じて、島根県立武道館で稽古を行っています。

系譜

直信流の創始者である寺田勘右衛門満英を始めとする系譜は以下の通りです。

• - 初代：寺田勘右衛門満英
• - 二代目：寺田平右衛門定次
• - 三代目：井上九郎右衛門正永
• - 四代目：井上治部大夫正順
• - 五代目：井上九郎右衛門兌克
• - 六代目：雨森次右衛門行清
• - 七代目：加藤気堂正昌
• - 八代目：石原佐伝次中和
• - 九代目：梶原純太夫一成
• - 十代目：石原佐伝次中従
• - 十一代目：堤六太夫重正
• - 十二代目：井上治部太夫正敬
• - 十三代目：松下善之丞栄道

技法の特徴

直信流柔道の技法は、主に相手を瞬時に制圧する力強い一撃、遠離れた位置で行う素早い技、当身技、投げ技から成り立っています。それらの技術の中でも特異な点は、甲冑を着た状態で急所を狙い、敵を組み伏せる手法です。この技法は、古くから伝わる中国拳法の影響を受けながら発展してきました。

精神的な要素

さらに、裏太刀による精神の鍛練が強調されているのも特徴です。この精神的要素は、沢庵禅師や陳元賛から受け継がれたものであり、技術のみならず心の修養にも重点を置いています。また、昭和時代に入ると、講道館柔道の影響を受けた乱取り稽古も取り入れられ、柔道の発展に寄与しています。

直信流柔道はその長い歴史の中で、多くの技術や理念を育んできました。これからも伝統を守りながら新しい技法の開発がなされることでしょう。

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