直木三十五賞

直木三十五賞について

直木三十五賞（なおきさんじゅうごしょう）は、大衆文学を対象とした日本の著名な文学賞です。一般に「直木賞」として知られており、大衆性が求められる長編小説や短編集に対し授与されます。本賞は1935年に創設され、年に2回の贈呈が行われています。上半期の対象作品は前年の12月1日から5月31日までに発表されたものであり、下半期は6月1日から11月30日までの作品を対象としています。候補作の発表はそれぞれの年の6月中旬と12月中旬に行われ、選考会は7月中旬と翌年の1月中旬に行われます。授賞式は毎年8月と2月に行われます。

概要

直木賞の起源は、当初無名あるいは新人作家を対象とした賞でした。しかし、1970年代以降、中堅作家へと対象がシフトし、近年では著名なベテラン作家が選ばれることも増えてきました。実際には、新人作家とは言い難い人物が多く受賞しています。初代受賞者の川口松太郎や、戦後1回目の受賞者富田常雄も、すでに人気作家としての地位を確立していたと言えます。

歴史

この賞は文藝春秋社社長の菊池寛が友人の直木三十五を記念して設立しました。某時期には第二次世界大戦による影響で一時中断となりましたが、1949年に復活を果たしています。2023年の下半期においての選考委員は、伊集院静の死去により新たに浅田次郎、角田光代、京極夏彦らが活動しています。

受賞内容

受賞者には懐中時計が正賞として贈呈されるほか、副賞として100万円も授与されます。また、受賞作は『オール讀物』に掲載されることが決まっています。興味深いことに、複数の受賞者が出た場合でも各々に受賞賞品と賞金が提供されるため、分割による授与は行われません。一方、受賞作品が存在しなかった場合には賞金が次回に繰り越されることはありません。

運営の特性

この賞は文藝春秋社との密接な関係があり、選考は多くの場合、同社から刊行された作品が選ばれる傾向にあります。このことから、業界内では「大衆文学」の中でも特に伝統的なジャンルが評価されがちです。これにより、新しいジャンルであるSFやファンタジー作品は選考から外れることが多く、その結果として受賞作がほとんどないという事例が見受けられます。

現在の選考基準

現在では中堅作家が受賞しやすい傾向があり、新しい作風やジャンル的な異なる作品が評価されにくい現状もあります。また、推理小説作家の受賞は長らく困難とされ、特定のジャンルに特化した作家の作品が評価される場面は限られています。ジャンルの理解が乏しい選考委員が多いため、作品の評価の幅は限定的です。最近では音楽小説など新たな形式の作品も受賞するケースが見られますが、全体としては保守的な傾向がみられます。

受賞者の記録

直木賞の受賞者には歴代の名作家が名を連ねており、受賞者一覧を見てもその多様性が伺えます。第1回から第170回まで多くの著名作家がこの賞を受けており、その中には時代の文学を代表するような作品が多く含まれています。文学賞としての重要性は今もなお健在であり、新たな才能を発掘する場として直木賞は広く注目されています。

もう一度検索