相互乗員資格

相互乗員資格（CCQ）について

相互乗員資格、英語で言うところのCross Crew Qualification（CCQ）とは、異なる航空機の操縦資格同士に互換性を持たせる制度です。具体的には、操縦に共通点がある機種において、一方の資格を持っているパイロットが、もう一方の機種の資格を比較的短い訓練期間で取得可能になることを意味します。このシステムは、航空機の利用効率を高める重要な役割を果たしています。

概要

通常、旅客機はそれぞれの型式ごとに操縦資格が必要です。そのため、パイロットが複数の機種を運航するためには、通常はそれぞれの機種に対する独自の訓練を受ける必要があります。しかし、相互乗員資格を導入することで、機種の操縦資格訓練を共通化することができ、訓練の期間を短縮することが可能となります。

例えば、ボーイング社が製造した757と767の2つの機種は、基本的に管轄するカテゴリーにおいては、ナローボディ機とワイドボディ機の違いだけしかありません。これにより、パイロットは迅速に他の機種の資格を取得できるのです。また、ボーイング777と787の間では、コックピットのレイアウトや操縦の操作感覚を似せる工夫がされており、同時に複数の機種を運航できる準備が整っています。

一方、エアバスにおいても相互乗員資格の制度が採用されていますが、A300とA310のように操縦系統が異なる機種は例外として除かれています。すなわち、A318からA380までの間で、これらの機種の操縦資格が共通化されており、パイロットが他の型式を操縦する際には、短期間の訓練として約2週間ほどで済みます。このメリットにより、多数の機種を扱う能力のある操縦士を安価なコストで育成できるようになっています。

さらに、マクドネル・ダグラスにおいても、DC-9シリーズ最初の機体であるDC-9-10と、その後継であるMD-90が同じ形式で乗務できることが認められています。これにより、パイロットは様々な機種を効率的に運用することが枠組みとして許可されています。

同時定期運航乗務

相互乗員資格は、基本的に異なるタイプの機体での操縦資格を習得するための訓練時間を短縮する目的がありますが、同時に一人のパイロットが、特定の条件を満たした上で複数の機体を常時運航できるようにした仕組みを同時定期運航乗務（Mixed Fleet Flying、略してMFF）と呼びます。

日本では、かつてはこのMFFが認められていませんでした。しかし、2019年に航空法が改正され、以来、2機種間であれば同時に乗務することが法律で許可されるようになりました。2024年に進み、日本の国土交通省はエアバスA320とA380、ボーイング777と787の間でMFFを承認しています。

このように相互乗員資格を活用することで、航空会社は短期間で多くの操縦士を育てることができ、機材運用の効率を大幅に向上させることが期待されます。

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