相互安全保障法

相互安全保障法

相互安全保障法（そうごあんぜんほしょうほう、英語: Mutual Security Act）は、アメリカ合衆国が1951年に制定した連邦法であり、この法令によって外国援助の提供方法が明確に再編されました。法の中では、約75億ドルの予算を使って、マーシャル・プランを含む様々な対外援助が統合されることになりました。この法律がその後のアメリカの援助政策に与えた影響は非常に大きいものです。

背景と成立プロセス

米国が1947年に提案したマーシャル・プランは、戦後復興を図る西欧諸国に対して大規模な経済援助を提供するものでした。これは1948年に経済協力局（ECA）の設立という形で実行に移され、最終的に約100億ドルを超える援助が供与されました。しかし、1950年6月に朝鮮戦争が勃発すると、米国の援助戦略は大きく変化し、特に軍事的な支援が重視されるようになりました。

1951年6月には、ECAの報告が発表され、米国は「西欧の再軍備を支援する」という新たな方針を明確に打ち出しました。同年10月10日、相互安全保障法は議会で成立し、軍事援助約60億4213万ドル、経済援助約14億4040万ドル、合計約74億8279万ドルの支出が承認されました。ここでの特筆すべき点は、マーシャル・プランに基づく支援が相互安全保障法に吸収されたことです。

法律の施行に伴い、1951年10月31日には相互安全保障庁（Mutual Security Agency）が設立され、初代長官にはアヴェレル・ハリマンが就任しました。12月29日には、ECAは廃止され、相互安全保障庁がその対外援助の業務を引き継ぐこととなりました。この新しい制度のもとでは、援助を受ける国が防衛力の強化を義務付ける仕組みが整えられました。

援助計画の調整と国際的な影響

相互安全保障庁の出先機関として、1952年1月には在欧特使事務所がパリに設置され、ここでは援助計画を効率的に調整する役割を果たしました。また、アメリカはマーシャル・プランと並行して対低開発地域に対する援助（ポイント・フォア計画）も進めていましたが、それらも相互安全保障法の枠組みの中で統合されることとなります。

日本との関係

相互安全保障法に基づき、日本との間にも二国間協定が締結され、通称「MSA協定」と呼ばれています。この協定は両国の防衛協力を強化するための基盤となり、アメリカの対外援助政策の一環として機能しています。

総じて、相互安全保障法はアメリカの対外援助政策を根本的に変革した法律として位置づけられ、その後の国際関係や安全保障の理念に深い影響を与えました。

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