相方城

相方城（さがたじょう）について

相方城は、広島県福山市の新市町にあった歴史的な山城で、別名佐賀田城とも呼ばれています。現在は、テレビ塔が建てられているため、過去の姿を直接見ることはできませんが、土台となる総石垣の構造が当時の威厳を伝えています。相方城は、芦田川の南岸に位置し、標高191メートルの「城山」の頂上に築かれたもので、東西約1,000メートル、南北約500メートルの広がりを持ちます。ここからは、現在の府中市から神辺までの美しい備後平野が一望でき、絶好の防衛拠点としての役割を果たしていました。

歴史的背景

この城の築城は、戦国時代の16世紀前半にさかのぼります。当時、芦田川の反対側には亀寿山城が存在し、そこを拠点とする国人領主の宮氏が備後南部に影響力を持っていました。また、相方城の南側には有地民部少輔元盛（有地姓の三代目）による支配地域があり、こちらでも同様に力を発揮していました。1552年、宮氏が滅亡した後は、有地氏が相方城を拠点としましたが、まもなく毛利氏の支配下に入ります。その後、毛利領の防衛のため、城の整備が進められました。山城の性質を持ちながらも、近世の城郭に近い構造へと変貌を遂げていったのです。具体的には、空堀や曲輪群などが築かれ、打込接の総石垣も施されました。さらに、瓦葺きの櫓や城門も建立され、中世から近世への移行を示す重要な遺構となっていました。

廃城とその後

しかし、相方城は関ヶ原の戦い以後に廃城となり、その城門や櫓はふもとの素盞嗚神社に移設されることとなります。伝説によれば、その神社には相方城の櫓とされる建物もありましたが、1970年代に焼失してしまいました。ただし、今なお移築された2つの城門が存在しており、それらは当地の歴史を知る貴重な証言となっています。

現状と注意点

現在、相方城が位置する山は急峻で、大規模な破壊を受けていないため、石垣や曲輪群が比較的良好な状態で保存されています。ただし、本丸にあたる箇所にはテレビ送信塔が設置されています。また、大型車が通行することは困難ですが、新市工業団地から山道を利用して山頂近くまで車でアクセスすることが可能です。

周囲は雑木林に覆われ、ニホンマムシが生息しているため、探訪の際は十分な注意が必要です。相方城は、その美しい眺望と共に、戦国時代の歴史を感じさせる場所であり、訪れる価値があります。

おわりに

相方城の歴史や構造についての理解を深めることで、訪問する際の楽しみも増すでしょう。福山市にお越しの際には、ぜひ立ち寄ってその魅力を体感してみてください。

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