相沢巌夫

相沢 巌夫（あいざわ いわお）

相沢巌夫は、1906年8月29日に石川県金沢市で生まれた日本の陸上競技選手で、特に短距離走の分野で名を馳せました。彼のスポーツキャリアは1920年代の日本の陸上競技界において重要な役割を果たしました。また、彼は陸軍司政官としても活動していました。

学生時代と競技活動の始まり

相沢は金沢の第四高等学校に入学し、高校時代には陸上競技に刺激を受けることとなりました。1925年1月13日に行われた神宮競技大会の100m走で、彼は10秒8のタイムを記録し、当時の日本記録に並ぶ成果を上げました。次に京都帝国大学法学部に進学し、そこで彼の陸上競技人生がさらに開花します。1927年には近畿選手権の100m走で10秒7を出し、見事に日本記録を更新しました。

大学在学中の1927年には、陸上競技選手権大会で200m走において21秒9を記録し、優勝を果たします。1928年の日本陸上競技選手権大会では再びその才能を発揮し、200mで21秒6の新記録を成功させました。この年は彼にとって特に輝かしいものであり、100mでも優勝し、2連覇を達成しました。

また、彼は同年中に行われた第1回日本学生陸上競技対校選手権大会においても、100m、200m、さらには4x400mリレーのすべてで優勝し、大学競技界でもその名を広めました。

オリンピックとその後

1928年にはアムステルダムオリンピックにも出場しましたが、残念ながら男子100m、200m、400mリレーでは予選で敗退しました。この経験は彼にとって貴重な学びの場となり、その後早稲田大学に移り、国際学生陸上大会に参加しました。これにより、日本初の国際学生陸上出場者となり、その後の陸上界にも影響を及ぼすこととなります。

就職と友人関係

1931年に京都帝国大学を卒業した後、相沢は阪神急行電鉄（現在の阪急電鉄）に就職しました。彼は同じく俊才である指揮者、朝比奈隆と同期であり、在学中の友人としての絆を深めました。その後、二人は共に百貨店部門に配属され、節約のために一時的に同居生活を送りました。この友人関係は、相沢の結婚まで続きました。

第二次世界大戦と最期

第二次世界大戦中、相沢は陸軍の司政官としてルソン島に派遣されました。その後、彼は終戦を迎えた1945年10月にニュー・ビリビッド米軍病院でマラリアにより亡くなりました。彼の死は、多くの人々によって惜しまれ、戦没オリンピアンとしての評価も受けることとなります。

伝記と評判

相沢巌夫の伝記は、京都大学陸上競技部蒼穹会や第四高等学校あかしや会が編纂した『相沢巌夫追悼録』に見ることができ、彼の競技人生や人柄を伝えています。また、近年では彼に関する研究も進められ、戦没オリンピアンという視点からも彼の業績に光が当てられています。

彼は、陸上競技の発展に寄与した一人であり、その業績は後の世代にも受け継がれることでしょう。

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