相田卓三

相田 卓三（あいだ たくぞう）

相田卓三氏は1956年に生まれ、日本の化学者として超分子化学、材料化学、高分子化学の分野で著名な業績を持っています。東京大学及び理化学研究所での活動を通じて、彼は超分子重合のパイオニアとして国際的に評価されています。彼の研究は持続可能社会の実現に寄与する新材料の開発に向けられています。

学歴と経歴

相田氏は1979年に横浜国立大学工学部応用化学科を卒業後、東京大学大学院へ進学し、井上祥平教授のもとで研究を重ねました。1984年に工学博士の学位を取得し、同年には東京大学に助手として就任。以降、講師、助教授と昇格し、1996年には教授に就任しました。2022年には東京大学の卓越教授に任命されます。彼はIBM Almaden Research Centerでの客員研究員経験を持ち、国内外で活躍する科学者とのつながりも深いです。

相田氏は、1996年から1999年まで科学技術振興機構のプロジェクトに参加し、2000年から2010年にかけてはERATOプロジェクトのリーダーとして活動しました。また、理化学研究所においては2013年から創発物性科学研究センターの副センター長を務めるなど、指導的役割を果たしています。

研究の概要

彼の研究は独自の性質を持つ超分子システムに焦点を当てており、特に超分子重合の分野で画期的な成果を上げています。1988年には水中で自発的に形成される両親媒性ポルフィリン分子を設計し、超分子重合の初期的な概念を提唱しました。以降も、ナノチューブ形成、リビング連鎖、ブロック共重合など新しい超分子重合の手法を次々と発表し、研究の幅を広げています。これにより、これまでの素材の枠を超えた機能と応用が可能となってきました。

特に、彼の提案した「熱二峰性超分子重合」は、これまでの常識を覆す特性を持ち、工業的な加工プロセスの改善に寄与する可能性があります。また、無溶媒で自己触媒的に反応する研究も行い、持続可能な材料開発に貢献しています。

主な業績と成果

相田氏は400を超える査読付き論文及び数多くの書籍を発表しており、その成果は世界中の化学界で広く認識されています。彼の研究室からは多くの優秀な研究者が巣立ち、アカデミックポストで活躍しています。

過去にはアメリカ化学会誌のアドバイザリーボードを務め、現在はScience誌のレビューボードとしても活動中です。また、花王株式会社の技術顧問を務めるなど、産業界への貢献も行っています。

受賞歴

相田氏は多くの賞を受賞しており、1993年には高分子学会賞、2010年には紫綬褒章、2021年にはRyoji Noyori ACES Awardを受賞しています。加えて、彼の研究は2021年にオランダの超分子化学賞を受賞するなど、海外でも高く評価されています。

趣味

学生時代には運動全般を楽しんでいた相田氏は、現在も温泉や旅行、動物と触れ合うこと、電子サックスの演奏など多彩な趣味を持ち続けています。彼の研究は今後も持続可能な社会の実現に向け、さらに進展し続けることが期待されています。

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