相田暢一

相田暢一(1921年5月19日-2012年4月17日)氏は、北海道小樽市出身の元大学野球選手、アマチュア野球指導者、そして審判員として、日本の野球界に大きな足跡を残しました。

旧制小樽中学校(現・北海道小樽潮陵高等学校)時代は投手として活躍。卒業後は早稲田大学に進学し、法学部で学びながら野球部に所属しました。しかし、肩の負傷により選手を引退、マネージャーに転身します。

早稲田大学在学中の1943年、学徒出陣を控えた時期に行われた、伝説的な「最後の早慶戦」の実現に尽力しました。当時の早稲田大学総長である田中穂積氏をはじめ、関係者を説得し回るなど、その実現に大きな役割を果たしています。

第二次世界大戦中は軍隊に入営し、野球から離れることになりましたが、その間も野球への情熱は失われることはありませんでした。入営前に、野球用具を買い集め、早稲田大学野球部の合宿所に保管。戦後、それらの用具を早稲田大学だけでなく、東京六大学の各大学に配布するなど、戦後復興に貢献しました。この行動が、1945年10月28日の東京六大学野球OB戦、11月18日の全早慶戦の開催につながり、日本野球の復興の大きな一歩となりました。

復員後、早稲田大学に復学し、1946年から学生の身でありながら[早稲田大学野球部]]の監督に就任。復活した東京六大学野球リーグ戦で手腕を発揮し、1946年秋のリーグ戦では優勝に導きました。その後は、指導者から審判員へと転身し、[[第40回全国高等学校野球選手権大会]では、準々決勝の徳島商業対魚津戦(延長18回引き分け再試合)の2試合で球審を務めるなど、アマチュア野球界で活躍しました。

その後も、日本学生野球協会や全日本大学野球連盟などのアマチュア野球組織で、評議員や理事などの要職を歴任。アマチュア野球界の発展に長年に渡り貢献しました。

2012年4月17日、老衰のため90歳で逝去。その功績を称え、2014年には野球殿堂入り（特別表彰）を果たしました。

相田暢一氏の生涯は、戦時下における困難を乗り越え、日本のアマチュア野球界の復興と発展に尽力した、まさに「野球人」の生き様そのものでした。彼の功績は、後世の野球関係者たちに長く語り継がれることでしょう。彼の努力と献身は、日本の野球界に計り知れない貢献を残したと言えるでしょう。戦後の混乱期においても、野球を通じて人々の希望を繋ぎ、日本の野球文化を復興させたその精神は、今なお多くの者に感銘を与え続けています。

もう一度検索