省スペースパソコン

省スペースパソコンとは

省スペースパソコンとは、据え置き型のパーソナルコンピュータ（PC）の一種で、従来のタワー型デスクトップPCと比較して小型で場所を取らないものを指す通称、あるいは総称です。スモールフォームファクタ (Small Form Factor, SFF) とも呼ばれます。1990年代後半から、スリムタワー型やキューブ型デスクトップPCが登場し、その代表例となりました。

概要

1990年代までのPCは、拡張性や大容量ハードディスク、将来のアップグレードへの対応などの要請から、横置き型やミドルタワー型と呼ばれる比較的大きな筐体のデスクトップPCが主流でした。しかし、PCの処理性能向上や主要機能のオンボード化が進み、高い拡張性や高性能CPUを必要としないユーザーが増加。オフィスや住宅環境の制約から、性能よりも省スペース性を重視するニーズが高まり、小型化されたPCが登場しました。これが「省スペースパソコン」と呼ばれるようになりました。

日本では、1990年代後半からオフィスでの小型デスクトップPCの利用や、ノートPCをデスクトップPCの代替として利用する動きが活発化しました。スリムタワー型PCが登場し、従来の横置き型PCに取って代わるようになりました。インターネットの普及とともに、家庭用PCの需要も拡大し、デザイン性を重視した省スペースPCが登場しました。

ノートPCをデスクトップPCとして利用する動きも広まりました。大型ノートPCは、可搬性を備えた省スペースデスクトップPCとして普及しました。しかし、CPUの高クロック化や高消費電力化により、スリムタワー型PCは停滞。ノートPCのデスクトップ化が進み、家庭向けPCではスリムタワー型PCは衰退傾向となりました。

一方、汎用部品を多用するスリムタワー型PCは、省スペース性とコストパフォーマンスの良さから、オフィスPCとして広く利用されています。近年では、液晶パネルに本体を内蔵した一体型PCも増加しています。

歴史

1970年代後半のPC登場当初は、標準サイズという概念がなく、省スペースPCという概念も存在しませんでした。8ビット時代のPCは、キーボードと本体が一体化したものが多く、省スペースと呼べるものもありました。1981年のIBM PCの登場以降、PCの主流は拡張性の高い大型機種となり、省スペースPCという概念が登場しました。

Appleは、1984年にMacintoshを発売。9インチディスプレイ一体型でコンパクトなPCであり、省スペースPCと呼べました。NECは、1985年にPC-9801U2を発売。拡張スロットを削減し、3.5インチFDDを採用した省スペースPCでした。1990年代後半には、スリム型やブック型と呼ばれる小型の縦置きPCが登場し、液晶ディスプレイとの組み合わせで省スペース化が進みました。1998年には、AppleからiMacが登場し、省スペースPCとしての一体型機種の地位が向上しました。

特徴

スモール・フォーム・ファクタ・コンピュータ（SFF）は、小型ながら最新のデスクトップPCと同等の機能をサポートするように設計されています。標準的な部品を使用しつつ、省スペース化を実現しています。ただし、拡張スロットの数やドライブベイの数には制限があります。一部のSFFコンピュータには、ノートPC用のコンポーネントが使用されています。

類型

省スペースパソコンは、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。

1. ディスプレイおよびキーボードとは独立した本体を持つもの
スリム型/ブック型、キューブ型などがあります。拡張性がある程度確保されています。
2. 液晶ディスプレイ一体型
現代の家庭用省スペースパソコンの主流です。デザインの自由度が高く、様々な形態があります。
3. CRTディスプレイ一体型
かつて主流でしたが、現在は衰退しています。AppleのiMacが代表例です。

オールインワンノート

オールインワンノートパソコンは、省スペースパソコンの一種として扱われることがあります。デスクトップPCに匹敵する性能を持ちながら、省スペース性、省エネルギー性、可搬性に優れています。

関連項目

ロープロファイル
パーソナルコンピュータ
パーソナルコンピュータ史
デスクトップパソコン
ノートパソコン
* ラップトップパソコン

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