省略

省略（ellipsis）とは

省略（しょうりゃく、ellipsis）は、文章を構成する要素の一部が意図的に欠落している修辞技法です。この欠落した要素は、文脈や論理的な構造、または文章全体のパターンから、読み手や聞き手が推測し、補完することができます。省略は、言語表現をより効率的かつ効果的にするために用いられる、非常に一般的な手法です。

省略によって作られた文を省略構文（elliptical construction）と呼びます。省略構文は、日常会話から文学作品まで、幅広い場面で利用され、言語表現に多様性と柔軟性をもたらします。

省略の例

具体的な例を挙げて、省略がどのように機能するかを見てみましょう。

「Fire when ready.（用意ができたら火をつけて）」
この文では、主語である「あなたが（you are）」が省略されています。完全な文にすると、「Fire when you are ready.（あなたが用意ができたら火をつけて）」となります。この例のように、省略は特に指示や命令の文で頻繁に見られます。

「My wife and I are expecting.（妻と私は期待している）」
この文では、何を期待しているのかが明示されていませんが、文脈から「子供を」と推測できます。つまり、「My wife and I are expecting a child.（妻と私は子供を期待している）」が完全な文となります。このように、省略は具体的な名詞や目的語を省くことによって、より簡潔な表現を可能にします。

省略が使われる理由

省略は、単に言葉を短くするためだけではなく、様々な目的で使用されます。

会話の効率化: 日常会話では、冗長な表現を避け、より迅速に情報を伝達するために省略が頻繁に用いられます。特に、会話の相手が既に状況を理解している場合、省略は非常に有効です。
感情の強調: 省略は、言葉を意図的に少なくすることで、かえって感情をより強く表現する効果があります。簡潔な表現は、感情をより鮮明に伝えることができる場合があります。
言葉を避ける: 口に出すのを避けたい言葉、例えば冒涜的な言葉や不快な表現などを婉曲に伝えるために、省略が用いられることもあります。

その他の省略の例

VP省略（動詞句省略、verb phrase ellipsis）
「John can play the guitar; Mary can, too.」のような文では、「Mary can」の後に続く動詞句「play the guitar」が省略されています。このような動詞句の省略も、省略の一般的な例です。これにより、文章の反復を避け、より洗練された表現が可能になります。

* スルーシング
スルーシングも省略の一種で、疑問文のなかで、具体的な内容を省略する用法。

まとめ

省略は、言語表現において非常に重要な役割を果たしています。言葉を効率的に伝えるだけでなく、感情を強調したり、言葉を避けたりするなどの多様な機能を持っています。省略を理解し、適切に使いこなすことは、より豊かで洗練された言語表現につながるでしょう。

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