県警対組織暴力

『県警対組織暴力』

『県警対組織暴力』は1975年に東映が製作した日本映画で、深作欣二が監督、笠原和夫が脚本を手掛けました。この作品は、1975年4月26日に公開され、100分のカラー・ワイド映像として多くの観客に注目されました。この作品は英語で「Cops vs. Thugs」というタイトルで知られ、その内容は警察とヤクザの癒着関係を描くものです。

概要

本作は『仁義なき戦い』から続く東映の実録映画路線の一環として位置づけられます。『仁義なき戦い』の成功を受け、東映はヤクザ映画を多く制作してきましたが、この映画では主演の菅原文太がヤクザではなく刑事を演じているのが特徴です。舞台は西日本の架空の地方都市「倉島市」で、悪徳刑事とヤクザの友情を通じて、警察とヤクザの深い関係が描かれます。タイトルの「組織暴力」は、主にヤクザとその関係者である警察を指しています。

あらすじ

昭和38年、西日本の倉島市で、暴力団の抗争が続いていました。倉島警察署の刑事課部長、久能徳松（演：菅原文太）は、暴力団に強いが、同時に彼らとの癒着を示唆する悪徳刑事です。彼は大原組の若衆頭、広谷（演：松方弘樹）と良好な関係を築いています。しかし、抗争が続く中、二人は川手組の計画を阻止し、祝杯を挙げるものの、抗争はさらに激化していきました。県警の海田（演：梅宮辰夫）が登場し、清廉潔白な捜査を強いることで、久能と広谷の友情にも亀裂が入っていきます。

スタッフとキャスト

主なキャストには、久能役を演じる菅原文太を筆頭に、梅宮辰夫や佐野浅夫などが参加しています。また、この映画では『仁義なき戦い』シリーズの多くのスタッフやキャストが再び集結しています。特に、深作欣二監督と笠原和夫脚本のコンビは、独自のスタイルで実録映画の粋を表現しました。

製作背景

本作は、1973年と1974年に大ヒットを記録したヤクザ映画の延長として企画されましたが、暴力団への対策が強化される中で製作されたため、警察の視点を取り入れた新しい切り口が採用されました。岡田茂東映社長が本作のタイトルを考案し、シナリオも広島での取材を元にしたものとなりました。実際の取材内容が作品に深みを持たせています。

評価と影響

公開当時、この映画は高い評価を受け、社会的なテーマを扱いながらも娯楽性を兼ね備えた作品として多くの愛好者の心に残りました。特に、警察組織内の癒着や対立というテーマは、後の映画やドラマにも影響を与えています。また、ヤクザ映画としての地位を確立し、様々なメディアでもリファレンスされる存在となりました。

この作品は、ただのアクション映画に留まらず、観客に警察とヤクザという社会の暗い側面を考えさせる力を持つ作品です。『県警対組織暴力』は、深作欣二監督と笠原和夫の名作として、今なお映画ファンの間で語り継がれています。

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