眞中靖夫

眞中 靖夫（まなか やすお）は、1971年1月31日に茨城県で生まれた、日本のサッカー指導者であり、かつてプロサッカー選手として活躍しました。兄の眞中幹夫氏もサッカー選手であったことから、兄弟で同じ道を歩んだことでも知られています。

プロ選手としては、主にフォワードのポジションでプレーしました。小柄ながらもパワフルさを兼ね備え、優れた突破力を持つ選手として認識されていました。持ち前の豊富な運動量を活かして前線へ積極的に飛び出し、ここぞという場面で強烈なシュートを放つプレースタイルが特徴でした。

眞中氏は、試合の流れを変える切り札として、短い出場時間で結果を残す「スーパーサブ」として特に輝きを放ちました。そのキャリアの中でも特筆すべき記録として、Jリーグにおける「1点目が生まれてからの最短時間でのハットトリック」が挙げられます。2001年7月14日に行われた柏レイソル戦において、彼は後半途中から出場し、わずか3分という驚異的な短時間で3得点を挙げ、ハットトリックを達成しました。この記録は、現在もJリーグにおいて破られていない金字塔となっています。

彼のこのような、限られた時間で最大の効果を出すプレースタイルは、後の世代の選手たちにも影響を与えました。例えば、セレッソ大阪時代のチームメイトであった佐藤寿人氏は、眞中氏のプレーを見て「プロとして生き残るためには、何か一つ突出した武器が必要だ」と強く感じ、自身のスピードを活かしたポジショニングやニアサイドへの飛び込みといった独自のスタイルを確立するきっかけになったと語っています。

選手としてのキャリアは、岩井市立岩井中学校、茨城県立岩井西高等学校を経て、1989年に住友金属に入団（後の鹿島アントラーズ）。その後、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、横浜FCといったJリーグクラブでプレーし、国内外の公式戦や国際大会にも出場しました。

現役引退後は指導者の道へ進みました。セレッソ大阪でスクールコーチや育成年代の監督・コーチを務め、若手選手の育成に尽力しました。2012年からは大阪学芸高校女子サッカー部の監督に就任し、女子サッカーの指導にも携わります。2017年には、なでしこリーグ2部に所属するコノミヤ・スペランツァ大阪高槻の監督を務めました。その後も、ラインメール青森FCのアカデミーダイレクター、ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校女子サッカー部監督、境トリニタス監督など、地域リーグや女子サッカー、育成年代と、幅広いカテゴリーで指揮を執りました。2024年にはカターレ富山のトップチームコーチを務めるなど、選手時代に培った経験と手腕を活かし、指導者として多方面で活躍を続けています。

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