真・仮面ライダー 序章

『真・仮面ライダー 序章』について

概要

『真・仮面ライダー 序章』は、1992年2月20日に東映ビデオから制作および発売されたオリジナルビデオである。この作品は、新たな仮面ライダー像を描くことを目的に企画され、特に大人向けの特撮作品として注目を集めた。『仮面ライダー』の生誕20周年を記念した作品として位置づけられるが、実際には21年目の作品である。バンダイのメディア事業部によって販売され、映像的には『仮面ライダーBLACK RX』以来、約2年半ぶりの新作となった。

あらすじ

物語は、東京で連続女性殺人事件が発生する中、主人公の風祭真が、父の研究に協力する中で財団によって生体改造兵士にされてしまうことから始まる。真は、ある日鬼塚義一の影響を受け、自らもバッタ怪人に変貌していく。彼の苦悩と闘いは、親しい人々との悲劇を残しながら進行する。

制作背景

制作には原作の石ノ森章太郎が関与し、従来の子供向けに制作された仮面ライダーとは異なる、大人向けの視点で制作された。この作品には、主人公とヒロインの大人の愛や悲劇が描かれている。また、仮面ライダーの過去作との直接的な繋がりはなく、パラレルワールドを意識した新しい世界観が構築された。監督の辻理は、特撮作品での経験を活かして作品を手掛け、大人の視聴者を意識したストーリー展開がなされている。

特徴

本作品では、仮面ライダーシリーズの原点に立ち返ることを意図しており、主人公は独特な形態に変身するが、その背景には深いテーマが隠れている。人間であった過去が、複雑に絡み合いながら描かれることで、観る者に強い印象を与える。また、愛と戦いといったテーマが中心に据えられ、観客はリアルな情感を感じ取ることができる。

本作の主人公、風祭真はオートレーサーでありながら、父の研究のために人体実験の被験者となってしまう。彼の父、大門は、臨床免疫工学の権威であり、息子を守るべく研究に関わり続けるが、運命に翻弄されていく。明日香愛は、真の看護師であり、愛と悲しみが交錯する教師の役割を持ち、物語において重要な位置を占める。

製作経緯とキャラクター

本作品の製作は1991年、仮面ライダーのパラレルワールド構想のもとスタートした。風祭真は、特異な改造兵士として描かれ、彼の変身や背景にあるストーリーは、原作者の意向を反映している。彼と共に登場する登場人物たちも強いキャラクター性を持ち、物語に深みを与えている。

風祭真に関連する主要なキャラクターである大門と明日香愛は、彼の苦悩と葛藤を一層深める役割を担い、作品のドラマ性を高めている。特に愛の存在は、真の行動に大きな影響を及ぼし、物語の中で何度も切なる感情を起こさせる。

結論

『真・仮面ライダー 序章』は、仮面ライダーシリーズの中で新たな方向性を模索した意欲作であり、特に大人の視聴者を意識した深いストーリー展開とキャラクター設定が評価されている。作品終了後も、スピンオフや続編が期待され続け、仮面ライダーというブランドそのものを大人のエンターテインメントとして確立する重要な作品となった。

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