真功夫

真功夫（ツンコンフー）は、中華人民共和国広東省をルーツとする、中華料理を主体としたファストフードチェーンです。1994年に広東省東莞市でその第一号店が産声を上げ、瞬く間に中国全土へと拡大しました。2015年の時点では、その店舗数は435を数え、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドといった世界的なファストフードチェーンと肩を並べ、「中国5大ファストフードチェーン」の一角を占めるまでに成長を遂げました。

店舗のキャッチコピーは「やっぱり蒸したほうがうまい」というもので、この言葉が示すように、同店の最大の特長は、中華料理に不可欠な調理法である「蒸し料理」をメインに据えている点にあります。これにより、ハンバーガーやフライドチキンといった西洋料理系のファストフードチェーンとは一線を画し、独自の路線を確立することに成功しています。

しかし、その一方で、真功夫は看板デザインを巡る訴訟問題に直面しています。店舗の看板には、黄色いトラックスーツを身にまとった男性のイラストが描かれており、その姿は伝説的な武道家であるブルース・リーを彷彿とさせます。この点について、ブルース・リーの実娘であるシャノン・リー氏が、肖像権侵害を主張し、真功夫を訴える事態となりました。

2019年12月、シャノン・リー氏は真功夫に対し、約3000万ドルの損害賠償、看板キャラクターの使用停止、そして、ブルース・リーとは無関係であることを周知する広告を新聞等に90日間掲載することを求め、訴訟を起こしました。過去にも、シャノン・リー氏は商標権侵害を訴えていますが、看板の画像使用については、裁判所からの明確な撤回命令は下されていません。2022年8月25日には、上海市の第二中級人民裁判所にて、この訴訟に関する審議が開始され、今後の動向が注目されています。

真功夫は、その独自のコンセプトと、長年にわたるブランド構築により、中国国内において確固たる地位を築いています。しかし、同時に、肖像権をめぐる訴訟問題は、同社の今後の成長に影響を与える可能性も否定できません。この訴訟問題の結果は、今後の中国における知的財産権の保護に関しても、重要な示唆を与えることになるでしょう。

真功夫は、蒸し料理をメインとするユニークなファストフードチェーンとして、中国市場での更なる発展を目指しています。しかし、そのためには、今回の訴訟問題に真摯に向き合い、知的財産権を尊重する姿勢を示すことが、不可欠であると考えられます。

この訴訟問題は、単に一つの企業の商標権侵害にとどまらず、文化的アイコンの肖像権がどのように扱われるべきかという、より普遍的な問題を提起しています。今後の裁判の行方を含め、真功夫の動向から目が離せません。

もう一度検索