真夜中のパーティー

真夜中のパーティー

『真夜中のパーティー』、原題『The Boys in the Band』は、1968年に初演されたマート・クロウリーによるオフ・ブロードウェイの舞台劇です。この作品は、ゲイの仲間たちが集まり、友人の誕生日を祝う一夜の出来事を描いています。後に1970年には映画化され、さらに2020年にも再度映画化されています。

初演は1968年4月15日、オフ・ブロードウェイのシアター・フォーで行われました。演出はロバート・ムーアが手掛け、プロデューサーにはリチャード・バーとチャールズ・ウッドワード・ジュニアが名を連ねています。この作品は、舞台上で初めて同性愛を真正面から扱ったものとして評価されており、劇は大変なヒットとなり、1,001回の上演に至りました。

映画化に関しては、CBSの子会社であるシネマ・センター・フィルムズが制作を決定した際に、オリジナルの演出家であるロバート・ムーアに監督を依頼しようとしましたが、会社は彼の映画経験の乏しさから躊躇しました。結果として、ウィリアム・フリードキンが監督に選ばれ、クロウリーはプロデューサー兼脚本家として直接関与しました。作品の撮影は、グリニッジ・ヴィレッジにあるバーや、主人公のマイケルのアパートのセットを再現するなど、リアルな環境で行われました。

ストーリー概要

物語の舞台はニューヨークの真夏、アッパー・イースト・サイドのマイケルのアパートです。彼はゲイの仲間たちと共に誕生日を迎えた友人ハロルドの祝いの準備を整えています。パーティーが始まると、仲間たちが集まり盛り上がりますが、一人だけストレートの友人アランがいます。アランの存在が、マイケルや他のメンバーにさまざまな影響を与え、彼らの感情や過去の心情が浮き彫りになっていきます。

マイケルは仲間たちに「ゲーム」を提案します。これは、自分が愛している相手に電話をかけ、その気持ちを直接伝えるというものです。このゲームがきっかけとなり、各々の過去や本心が次第に明らかになります。バーナードとエモリーは、自らの思い出を語り始め、電話をかけることになりますが、結果はいずれも思い通りにはいきません。

また、マイケルとアランの間には緊張感が漂います。マイケルはアランがゲイであることを隠していると非難しますが、アランは異を唱え、愛する人に電話をかけます。ブレークポイントとして、アランが電話をかけた相手は彼の妻でした。これによりマイケルは大きなショックを受け、彼の元でハロルドがマイケルの本心に鋭く切り込んでいきます。

パーティーの終息後、恋人のドナルドと過ごす中でマイケルは自らの感情に翻弄され、激しい涙を流します。心の整理がつかないまま、夜のミサに向かうことで物語は幕を閉じます。

登場人物

作品にはユニークなキャラクターが揃っています。マイケルはゲイでありながらも自己嫌悪に悩む失業者、ハロルドは32歳の誕生日を迎えるユダヤ系のゲイ、エモリーは室内装飾の仕事をするおネエ系、ハンクは真面目な数学教師です。ストレートのアランは堅物の弁護士であり、彼の存在が物語の緊張感を作り出します。

上演履歴

この作品は日本でも人気があり、1983年には青井陽治の翻訳と演出で初演されて以来、たくさんの俳優たちによって再上演されてきました。2020年には、安田顕の主演により、新たに『ボーイズ・イン・ザ・バンド～真夜中のパーティー～』として各地で上演され、多くの観客を魅了しました。

『真夜中のパーティー』は、同性愛のリアルな描写や人間関係の複雑さを探求した作品であり、今もなお観客に強い影響を与え続けています。

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