真夜中の戦士

『真夜中の戦士』は、鬼才・永井豪による日本の漫画作品。元々は1974年に『週刊少年ジャンプ』に掲載された短編作品でしたが、大幅な加筆を経て、1981年から1982年にかけて『週刊少年マガジン』で連載されました。

短編版は、SF作家の筒井康隆からも高く評価され、アンソロジーに収録されるなど、その独創的な世界観は早くから注目を集めていました。

短編版のあらすじ

物語は、火鳥ジュンが戦場で目覚めるところから始まります。彼女がいたのは、孤島の端にあるトーチカ。そこにはジュンを含めて11人の戦士がいましたが、まともな姿をしているのは男女2人ずつ。残りは獅子や竜の頭部を持つ異形の者たちでした。彼らは記憶を失っており、自分が何者なのか、なぜここにいるのかも分かりません。

唯一の手がかりは、獅子の頭部を持つ戦士が持っていた「FIGHT」と書かれた紙。彼らはこれから、孤島の反対側にあるもう1つのトーチカと戦わなければならないことを悟ります。武器は剣や銃、ミサイルなど様々で、装備にも大きな差がありました。

互いに不安を抱えながらも、ジュンは同じ衣装と剣を持つ少女に惹かれ合います。しかし、戦いの理由も目的も分からないまま、無慈悲な戦闘が開始されます。

獅子の頭部を持つ戦士がリーダーとなり、指示を出しますが、その指示の中には、指示された本人も知らない能力が含まれていました。敵もまた、同じような武器と布陣で待ち構えており、戦いは激化の一途をたどります。

そんな中、ジュンと少女は、自分たちが生まれたばかりのロボットであり、記憶など最初から無かったのではないかという疑念を抱きます。事実、倒された敵味方の戦士からは機械部品が見つかりました。パニックに陥る少女をジュンは抱きしめ、戦争が終わったら一緒に暮らすことを約束します。しかし、少女は不意を突かれて致命傷を負い、身体からは歯車やネジが飛び出し、黒いオイルが流れ出ます。視力を失った少女は、ジュンに自分の血は何色かと尋ね、ジュンが「真っ赤な熱い血だ」と答えると、安堵の表情で息を引き取ります。

ジュンは敵の本陣に突撃し、ついに相手の獅子の頭をした指揮官を倒します。しかし、その指揮官もまた、戦いの目的を知らなかったのです。

敵も味方も全滅し、戦場に1人残されたジュンの前に、突如として地下室への入り口が現れます。地下には巨大な研究施設があり、そこにはジュンと同じ顔をした人間がいました。その人間は科学者であり、アンドロイドによる戦争ドラマを演出するために、ジュンたちを作り出したことを告白します。彼は、感情移入を深めるために、ジュンに恋愛感情までプログラミングしたと言います。戦争のスリル、サスペンス、虚しさ、そして戦場での恋と喪失。すべては彼の「素晴らしい出来」のために仕組まれたものだったのです。

怒りに震えるジュンは剣を振りかざし、科学者を斬りつけます。科学者は、戦争の素晴らしさを体験させてやったのに、なぜこんな仕打ちを受けるのか理解できません。ジュンは「将棋の駒にされた者の気持ちがわかるか」と絶叫します。

第1部第2章のあらすじ

アンドロイド管理局に回収されたジュンは、調査の結果、通常のアンドロイドであることが判明します。管理局長のバラードは、ジュンを解体処分する意見を退け、アンドロイド同士が殺し合うデオノン・コロシアムに送り込みます。

時は29世紀。人間同士の戦いはなくなり、代わりに人間はアンドロイドを狩りの対象としたり、殺し合いを見物したりして娯楽としていました。バラードはジュンを利用し、アンドロイドに反乱を起こさせ、それを機に世界からアンドロイドを一掃しようと企んでいたのです。

バラードの思惑通り、ジュンとコロシアムのアンドロイド剣士たちは人間に反抗することを決意し、荒野に隠れ住んでいた逃亡アンドロイドたちもジュンに呼応します。彼らは仲間のアンドロイドの遺体から作ったミサイル「ファイアーバード」をデオノン・コロシアムのあるドーム都市に撃ち込みます。

こうして、アンドロイドと人間との間の戦争が始まるのでした。

(以下、未完)

『真夜中の戦士』は、アンドロイド兵士たちの悲哀と狂気を描いた、永井豪の異色作です。 युद्धの不条理、人間のエゴ、そして存在意義といった重いテーマを扱いながらも、スピーディーな展開と迫力のあるアクションシーンで読者を魅了します。

未完であるものの、その衝撃的な内容は、多くの読者の心に深く刻み込まれています。

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