真白き富士の嶺 (1963年の映画)

映画『真白き富士の嶺』について

『真白き富士の嶺』は、1963年に公開された日活製作のモノクロ映画です。太宰治の短編小説『葉桜と魔笛』を原作とし、吉永小百合が主演を務めました。映画は、病に侵された妹と、その妹を深く愛する姉の姿を中心に、彼女たちを取り巻く人々との人間関係を描いています。

原作について

原作である太宰治の『葉桜と魔笛』は、1939年に発表されました。日露戦争の頃を舞台に、姉が妹との過去を回想する形式で物語が進みます。原作の持つ独特な雰囲気は、映画にも色濃く反映されています。

あらすじ

物語は、逗子の浜辺ではしゃぐ梓の姿から始まります。姉の梢は、退院したばかりの妹を優しく見守っていました。母を亡くした姉妹は、互いを深く思いやっていました。梓は白血病を患っており、逗子で療養生活を送ることになります。ある日、梢はケッセルの『昼顔』に挟まれていた手紙を見つけてしまいます。それは梓が書いたものではなく、見知らぬ男性「M・T」からの手紙でした。梢は恋人の山上と協力し、「M・T」の正体を探し始めます。やがて梢は、梓が「M・T」に宛てた縁切りの手紙を発見します。梓の死期が迫る中、梢は自ら手紙を代筆し、梓に読み聞かせます。しかし、薄暗い部屋で読まれた手紙を、梓は姉が書いたものだと見抜きます。そして、自らが「M・T」に送った手紙は、自分で書いたものだったことを打ち明けます。その後、梓は静かに息を引き取ります。

スタッフ

この映画は、芦田正蔵が企画し、森永健次郎が監督を務めました。脚本は須藤勝人が手がけ、原作の持つ魅力を最大限に引き出しています。撮影は松橋梅夫、音楽は渡辺宙明が担当しました。美術は西亥一郎、録音は福島信雅が手がけ、作品の世界観を形作っています。

キャスト

主要キャストには、磯村修平役の宮口精二、磯村梢役の芦川いづみ、磯村梓役の吉永小百合、山上裕康役の小高雄二、富田一夫役の浜田光夫、吉川さと役の岡村文子など、実力派俳優たちが名を連ねています。病院長役の伊藤寿章、高校校長役の久松洪介、老教師役の小野武雄といった脇役たちの演技も、物語に深みを与えています。

まとめ

『真白き富士の嶺』は、病に侵された妹と、姉の深い愛情を描いた感動的な作品です。太宰治の原作の持つ文学的な要素と、映画ならではの表現が融合し、観る者の心を揺さぶります。吉永小百合をはじめとする俳優たちの熱演も見どころの一つです。

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