真空バルブ

真空バルブとは

真空バルブは、真空チャンバーに取り付けられる特殊なバルブで、気体成分の遮断や厳密な流量制御を行うために用いられます。通常のバルブとは異なり、真空環境下での使用を想定しているため、構成材料には真空用材料が用いられることが一般的です。真空バルブは、主に気体を遮断するタイプと、流量を制御するタイプの2つに分類されます。

真空バルブの種類

遮断バルブ

真空バルブとして一般的に知られているのは、この遮断バルブです。大気と真空、または異なる圧力の空間を隔離するために使用され、真空システムの気密性を保つ上で重要な役割を果たします。遮断バルブには、以下の種類があります。

ゲートバルブ: スライド式の弁を使用し、大きな開口部を確保できるため、排気速度を重視する用途に適しています。弁の開閉により、真空ラインを完全に遮断することができます。
L型バルブ: L字型の形状をしており、配管の方向を変換する際によく用いられます。コンパクトな設計で、狭いスペースにも設置可能です。
ストレートバルブ: バルブの直線上に流路があり、抵抗が少ないため、高真空用途に適しています。構造がシンプルで、信頼性が高いのが特徴です。
バタフライバルブ: 円盤状の弁を回転させて開閉するタイプです。比較的安価で、サイズも豊富に揃っているため、幅広い用途で利用されています。

これらの遮断バルブは、それぞれ異なる特徴を持つため、使用する圧力領域、用途、真空装置の構造などを考慮して選択する必要があります。

コンダクタンスバルブ

コンダクタンスバルブは、真空チャンバーに流入するガスの流量を制御するためのバルブです。これにより、真空チャンバー内の圧力やガス組成を調整することができます。コンダクタンスバルブは、さらに2つのタイプに分けられます。

バリアブルリークバルブ: ガスの流量を微調整しながら、真空チャンバーにガスを導入するためのバルブです。精密な制御が可能で、成膜装置や質量分析装置などで使用されます。
コンダクタンスバルブ（排気速度制御用）: 真空ポンプと真空チャンバーの間に設置され、排気速度を制御します。これにより、真空チャンバー内の圧力を調整したり、到達真空度を最適化したりすることができます。

流量制御用のコンダクタンスバルブには、以下のような種類があります。

ニードルバルブ: ニードル状の弁を使用し、ガスの流量を精密に調整します。微量のガス導入に適しており、リークテストや分析装置などで使用されます。
バタフライバルブ: 遮断バルブとしても使用されるバタフライバルブですが、開度を調整することで流量制御にも利用できます。幅広い流量範囲をカバーできるため、汎用性の高いバルブです。

関連事項

真空: 真空とは、大気圧よりも低い圧力の空間のことです。様々な産業分野で利用されており、半導体製造、食品加工、医療など幅広い分野で活用されています。
真空フランジ: 真空装置の配管接続に使用される部品です。気密性を確保するために、金属製で精密に加工されています。

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