真鍋頼一

真鍋頼一は、明治20年（1887年）5月7日、現在の愛媛県西条市に生を受けました。日本のプロテスタント教会の指導者として、また教育や社会事業の分野においても重要な足跡を残した人物です。

若い頃にキリスト教の信仰に出会い、明治36年（1903年）に洗礼を受けます。その後、信仰の道をさらに深く歩むことを決意し、神学を学ぶために青山学院に進学しました。大正2年（1913年）に青山学院神学部を卒業すると、日本メソジスト教会の牧師となります。この教会は、日本のプロテスタント史において重要な役割を果たした教派の一つです。

メソジスト教会時代には、牛込教会の牧師を務めるなど、様々な教会で牧会に携わりました。また、教会の社会的な働きを推進する社会局長としても活躍し、キリスト教の信仰に基づいた社会奉仕活動にも力を注ぎました。

昭和16年（1941年）、日本のプロテスタント諸教会が合同して日本基督教団が成立すると、真鍋頼一はこの新しい教団の牧師の一員となります。特に、教団の第2部においてその働きを担いました。戦後、日本のキリスト教会が新たな歩みを始める中で、真鍋頼一は重要な指導的立場を任されます。

昭和21年（1946年）、阿部義宗氏の後任として、日本基督教団の第2代議長に就任しました。議長として、戦後の混乱期における教団の再建と発展のために尽力し、昭和21年末までその任を務めました。この時期は、終戦直後であり、教団内外に多くの課題が山積する中での指導力が求められました。

議長退任後、真鍋頼一は同年、日本基督教団池の上教会の牧師に就任します。この時期、太平洋戦争の空襲によって会堂を失った日本基督教団牛込教会の会員たちが、池の上教会に集まって礼拝を捧げていました。真鍋は、こうした状況にある両教会の牧師として、合同での礼拝を重ねることを導きました。

牛込教会と池の上教会は、真鍋頼一の指導のもと、次第に一つになろうとする動きを強めます。そして昭和23年（1948年）3月、両教会は正式に合併し、「日本基督教団美以教会」として新たな出発を切りました。「美以」の名は、かつてのメソジスト教会に由来するものです。

合併から間もない同年7月、日本基督教団の指導により、教会名は「頌栄教会」と改称されました。真鍋頼一は、この頌栄教会の初代牧師として、合併によって誕生した新しい教会の基礎を築き、その発展のために生涯を捧げました。

牧師としての働きに加え、真鍋頼一は教育界や社会事業分野でも重要な役割を果たしました。特に、青山学院の理事長を務め、キリスト教主義教育の振興に貢献しました。また、日本基督教社会事業同盟の理事長としても、キリスト教の精神に基づいた社会福祉活動の推進に尽力しました。

昭和46年（1971年）11月19日、真鍋頼一はその生涯を閉じました。牧師として、教団の指導者として、そして教育・社会事業家として、日本のキリスト教会とその社会への貢献は多大なものでした。その働きは、今もなお多くの人々に記憶されています。

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