眼窩上動脈

眼窩上動脈（がんかじょうどうみゃく）について

眼窩上動脈は、頭頸部の動脈の一つであり、眼窩の重要な血管です。眼動脈から分岐し、前頭部、上眼瞼、頭皮など、顔面の上部に血液を供給する役割を担っています。

経路

眼窩上動脈は、眼動脈の枝として始まり、眼窩内で内側にある視神経と交差します。その後、上直筋と上眼瞼挙筋の内側縁に沿って上行し、眼窩上壁と上眼瞼挙筋の間で眼窩上神経と合流し、眼窩上切痕へと向かいます。この動脈は、全ての人に存在するわけではなく、10〜20%の人には存在しない場合があります。

枝

眼窩上動脈は、眼窩上切痕を通過する際に、浅枝と深枝に分かれます。これらの枝は、それぞれ顔面の異なる領域に血液を供給します。また、滑車上動脈や浅側頭動脈の枝と吻合し、顔面の血行を維持する上で重要な役割を果たしています。

栄養

眼窩上動脈は、以下の組織や器官に栄養を供給しています。

上眼瞼挙筋：上眼瞼の開閉に関わる筋肉
前頭骨板間層：前頭骨の内部構造
前頭洞：前頭骨内の空洞
上瞼：上眼瞼の皮膚や組織
額の皮膚：前頭部の皮膚
頭皮：頭部の皮膚

これらの組織や器官への血液供給を通じて、眼窩上動脈は顔面の正常な機能維持に貢献しています。

臨床的意義

眼窩上動脈の走行や分布を理解することは、顔面の手術や外傷の治療において重要です。例えば、額の創傷を負った場合、眼窩上動脈の損傷に注意する必要があります。また、眼窩上動脈の血流異常は、視力障害や眼球運動障害を引き起こす可能性があります。

まとめ

眼窩上動脈は、眼窩から前頭部にかけて血液を供給する重要な動脈です。その経路、枝、栄養範囲を理解することで、顔面領域の解剖学的知識を深め、臨床に役立てることができます。

参考文献

グレイ解剖学 (第20版, 1918年)
eMedicine Dictionary: supraorbital+artery
* Dartmouth.edu: http://www.dartmouth.edu/~humananatomy/figures/chapter_47/47-2.HTM

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