睡眠相前進症候群

睡眠相前進症候群（ASPS）

睡眠相前進症候群（Advanced Sleep Phase Syndrome, ASPS）は、概日リズム睡眠障害の一種であり、慢性的に入眠時間と覚醒時間が前倒しになる状態を指します。つまり、一般的な時間よりも早く眠くなり、早く目が覚めてしまうという症状が現れます。

概要

私たちの体には、約24時間周期で変動する概日リズム（体内時計）が備わっています。この体内時計は、通常、朝の光を浴びることでリセットされ、日中の活動や夜間の睡眠といった24時間のリズムを刻みます。しかし、何らかの原因でこのリセット機能が正常に働かなくなると、概日リズムが狂い、睡眠障害を引き起こすことがあります。

睡眠相前進症候群は、特に高齢者に多く見られる傾向があります。若年層に多い睡眠相後退症候群（夜更かし・朝寝坊）とは対照的です。

厚生労働省の睡眠指針検討会報告書では、睡眠相前進症候群は生体リズムの過剰な前進による病態と定義されています。例えば、毎日午後8時に強い眠気を感じ、午前3時に目が覚めてしまうような状態が、固定化してしまうケースが挙げられます。このような症状は、40歳前後から現れ始めることが多いとされています。

治療

概日リズム睡眠障害全般に有効な治療法として、睡眠相前進症候群にも光療法が用いられます。これは、就寝前に高照度の光を浴びることで、体内時計を意図的に遅らせる方法です。具体的には、高照度光照射療法が用いられます。また、午前中にサングラスをかけるなどして、光を浴びる量を減らす方法も効果的とされています。

これらの治療法によって、睡眠相を強制的に後退させ、正常な睡眠リズムを取り戻すことが期待できます。

その他の情報

関連項目
不眠症
睡眠障害

外部リンク
* 健康づくりのための睡眠指針検討会報告書｜3.概日リズム睡眠障害｜(3)睡眠相前進症候群 - 厚生労働省

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