矢島御所

矢島御所とは

矢島御所は、室町時代末期に現在の滋賀県守山市矢島町に存在したとされる居館です。この場所は、足利義昭が13代将軍足利義輝が殺害された永禄の変の混乱を避けるために、一時的に身を寄せた地として知られています。一般には矢島館とも呼ばれています。

永禄の変と足利義昭

1565年（永禄8年）、室町幕府13代将軍であった足利義輝が、永禄の変によって暗殺されるという衝撃的な事件が発生しました。この事件を契機に、義輝の同母弟であり、興福寺一乗院の門跡として覚慶と名乗っていた足利義昭は、動乱の渦中に巻き込まれることとなります。当初、義昭は松永久秀によって保護されるものの、実際にはその庇護下で幽閉に近い状態に置かれていました。

しかし、兄・義輝の旧臣であった一色藤長や細川藤孝らの尽力によって、義昭は危機的な状況から救出されます。その後、義昭は奈良を脱出し、甲賀の地に潜伏。さらに、六角氏を頼り、矢島へと移り、この地に滞在することとなりました。

矢島御所での滞在と還俗

矢島御所は、義昭が身を落ち着け、再起を図るための重要な拠点となりました。1565年から1566年にかけての滞在中、覚慶は還俗し、義秋と名を改めました。これは、彼が武家としての道を歩み始めることを意味しており、後の将軍就任への重要な転換点となりました。

矢島御所での滞在は、単なる避難場所ではなく、足利義昭がその後の歴史を動かすための力を蓄える重要な時間であったと言えるでしょう。この地での経験は、義昭の生涯において大きな影響を与えたと考えられます。なお、この場所は、現在の滋賀県守山市矢島町に位置すると推定されています。

このように、矢島御所は、室町時代の激動期において、足利義昭という人物の運命を大きく左右した場所として、歴史にその名を刻んでいます。わずかな期間の滞在でしたが、その歴史的な意義は非常に大きいものと言えるでしょう。

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