矢立肇

矢立肇の概要

矢立肇（やたて はじめ）は、サンライズが使用する共同ペンネームであり、主にそのアニメーション作品の企画部門において、原作者や原案者として名が挙がる名前です。このペンネームは特定の個人に帰属するものではなく、サンライズの企画スタッフが共用する形式となっています。また、この名前は版権管理の目的でも利用されています。矢立肇は1978年に公開されたサンライズのオリジナルアニメ『無敵鋼人ダイターン3』から使用され始めました。

ペンネームの由来

矢立肇という名は、日本の俳句の巨匠、松尾芭蕉の作品「奥の細道」に登場する「矢立ての初め」という一節に由来しています。この句は、新たな旅の始まりを象徴しています。また、ペンネームには「やったぜ、初めて！」という意味も込められていると言われています。このことは、サンライズのスタッフが新しい挑戦を記念する意図があったことを示唆しています。

サンライズの作品と矢立肇

サンライズが製作するオリジナルアニメ作品においては、矢立肇名義が多くのタイトルに使用されています。特に『出撃!マシンロボレスキュー』や『アイドルマスター XENOGLOSSIA』のような場合でも、平成時代の作品でも、サンライズが企画やプリプロダクションを主導する限り、これらの作品は矢立肇名義でクレジットされることが多いです。

故に、サンライズの制作における権利関係の整理や、複数の人物による作品共同制作の背景が示されますが、必ずしも全てのサンライズ作品にこの名前が使われるわけではありません。例えば、ガンダムシリーズでは富野由悠季が矢立肇と共同で名を連ねることが見受けられますが、他の多くの作品においてはそれぞれ異なる原作者がいることもあります。

山浦栄二という存在

1980年代前半までは、矢立肇は実際には単一の個人、当時の企画部長であった山浦栄二を指していると、多くの関係者が証言しています。更にアニメ監督たちも彼の存在を強く印象したと語っています。矢立肇の名が表向き使われるようになった経緯には、山浦自身が持っていた文化的趣味が影響しているとの考えもあります。彼がクレジットに名を連ねることで、他のスタッフの意見を反映させる重要な役割を果たしていました。

河原よしえは、その後の展開において、矢立肇がその時代のサンライズ全体を象徴するペンネームの一つであると見なしています。初期の作品においては、山浦が強い影響力を持ち、彼の為に参加した制作チームが存在しました。カタログとしての要素に加え、提案されるアイディアを形にする力を与えたとしても過言ではありません。

近年の状況

2015年には、サンライズのキッズ・ファミリー部門が分社化され、バンダイナムコピクチャーズが設立される事態を迎えました。その結果、「原作 サンライズ」のクレジットが「原作 BN Pictures」に変更されましたが、『バトルスピリッツ』シリーズは矢立肇名義で引き続き表記されています。

本名義の使用に関しては、現在もサンライズにおいて矢立肇の名は象徴的な存在であり続けています。

もう一度検索