短母趾伸筋

短母趾伸筋（Extensor hallucis brevis muscle）の詳細

短母趾伸筋は、足の親指である母趾の動きを司る下肢の筋肉の一つです。この筋肉は、特に母趾MP関節（中足趾節関節）の伸展、つまり親指を反らす動作に深く関与しています。

起始と停止

短母趾伸筋は、足根洞の入口付近に位置する踵骨から起始します。より具体的には、踵骨の前方部分、そして下伸筋支帯の一脚から発生します。そこから、筋肉は母趾に向かって走り、最終的には第1指、すなわち母趾の指背腱膜に停止します。この腱膜を介して、筋肉の収縮が母趾の伸展運動として実現されます。

機能

短母趾伸筋の主な機能は、母趾MP関節を伸展させることです。歩行時や走行時に、地面を蹴り出す際に母趾を反らす動作をサポートします。また、立位姿勢を保つ際にも、足部の安定性を高める役割を果たします。この筋肉が正常に機能することで、スムーズな歩行やバランスの維持が可能になります。

位置関係

短母趾伸筋は、長母趾伸筋という別の筋肉と密接な関係にあります。長母趾伸筋は下腿から起始し、母趾の末節骨に停止するのに対し、短母趾伸筋は足部内で起始し、MP関節の伸展に特化しています。これらの筋肉が協調して働くことで、母趾の繊細な動きが可能になります。

臨床との関連

短母趾伸筋の機能不全は、様々な足部の問題を引き起こす可能性があります。例えば、筋肉の過緊張は、母趾の変形や痛みの原因となることがあります。また、スポーツ活動などによる過度な使用は、筋肉の炎症や損傷につながることもあります。適切なストレッチやトレーニング、そして足部のケアが、短母趾伸筋の健康を維持するために重要です。

このように、短母趾伸筋は足の機能において重要な役割を果たしており、その構造と機能を理解することは、足部の健康を維持する上で不可欠です。

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