短波方向探知機

短波方向探知機（HF/DF）

短波方向探知機（たんぱほうこうたんちき）、英語ではHigh-frequency direction finder（HF/DF）として知られるこの装置は、電子戦支援システムの一部であり、特に短波通信の方向を探知するために使用されます。通称「ハフ-ダフ」という名前が広まり、無線方向探知機（RDF）としても知られています。

歴史的背景

短波方向探知機の開発は、第一次世界大戦にさかのぼります。1914年の戦争勃発時には、無線通信がすでに普及していましたが、その信号の方向を正確に探知する技術はまだ確立されていませんでした。イギリス海軍の通信学校は、この技術の研究を開始しましたが、1918年の終戦にまで十分な成果を得ることはできませんでした。その後、1920年から1930年にかけて様々な技術的試みが進められ、特にベリニトシ・システムの導入が重要な一歩となります。

1930年代には、単一回転式ループアンテナが標準的な設計として採用され、特定の艦船に装備されました。例えば、戦艦「バーラム」や軽巡洋艦「コンコード」に短波方向探知機が搭載され、さらに1938年には空母「アーガス」において運用試験が実施されました。

技術の進化

第二次世界大戦が進行する中で、短波方向探知機にはいくつかの技術革新がもたらされました。特に、可変式キャパシタンス（adjustable capacitance）の導入によって、装置は小型化され、小型艦や航空機への搭載が可能になりました。1941年3月には、H級駆逐艦「ヘスペルス」に初のFH1型が搭載され、同年7月にはその改良型のFH3型が実艦に搭載されるようになりました。この技術は、1942年時点ですでに25隻以上の戦闘艦や救難艦に搭載さていました。

大西洋の戦いとHF/DF

HF/DF装置は、大西洋での海戦において非常に重要な役割を果たしました。特に、ドイツ海軍のUボートが短波無線を利用して司令部や他の艦船との連絡を行っていたため、HF/DF装置によってその信号の向きを特定することで、敵の進行方向や攻撃の座標を推定することが可能になりました。この情報は、護送船団や護衛指揮官にとって非常に価値があり、彼らの作戦行動に大きな影響を与えました。

結論

短波方向探知機は、その発展の歴史とともに、海軍作戦において不可欠な情報源となりました。このシステムは、巧妙な無線通信の破壊や攻撃の回避を助け、軍事戦略的な優位性を実現するための重要なツールとして位置づけられています。

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