石井定七

石井 定七（いしい さだしち）

概要

石井定七は、1879年に滋賀県で生まれた商人であり、相場師としても知られています。彼は主に大阪で活動し、その商才と大胆な取引により巨額の資産を築く一方で、最終的には破産する運命を辿りました。

早年期

石井定七は、北村多助の三男として生を受けました。13歳の時に大阪市内の材木問屋である石井商店に小僧奉公として勤め始めます。彼の商才はこの時期に花開き、わずか20歳の頃には無断で材木を買い占めて巨利を得ることに成功します。この行動により、彼は初代定七の三女と結婚し、23歳で養子となります。その後、29歳で家督を継市し、二代目定七として商業に従事することになります。

ビジネスの拡大

彼は材木商としての主業の他、1907年頃から株式の取引を開始し、1914年から1915年にかけては米穀取引にも乗り出しました。その後、綿糸や綿花、さらには銅など様々な商品の取引を手がけ、不動産の売買も行いながら資産を急速に増やしていきます。1920年にはその資産が約8千万円に達したとされ、堂島での米相場において真価を発揮しました。

相場での成功と問題

特に1919年から1921年の間、80万石の米を買い占めた際は市場関係者から大きな関心を集めました。決算当日に必要な資金2300万円を集めることができたことから、彼の商才は広く認識されました。また、日露戦争や第一次世界大戦の期間中には、材木や銅の相場においても成功を収めています。

しかし、彼の相場取引には資金繰りに関する不正が絡みついていました。手形の信用を利用したり、高知商業銀行の経営権を獲得して機関銀行を利用するなど、商業道徳が問われる手法が多く見受けられました。

破産とその後

1925年、鐘紡新株を巡る仕手戦での敗北は、彼にとって大きな痛手となります。挽回を図るも、引き続き経済的困難に見舞われ、最終的には破産を宣告されることとなります。その後、10年以上かけて負債を返済し、完済した直後に交通事故で命を落とすという悲劇的な展開が彼の人生を締めくくります。

家族

彼の家族構成については、養父に石井尚祐を持ち、妻は尚祐の三女であるスへです。また、長女や二女、三女もおり、彼の家系は商業に深く根ざしています。石井家は、その商人としての活躍と同時に、一時の繁栄と衰退を経験した者として、近代日本の商業の一端を担う存在でした。

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